ワシントン・タイムズ・ジャパン
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精神的にきつかった隔離14日間


《ソウル隔離生活体験記(8)》

知人の連絡に慰められる

【12月19日(土)最終日】

 朝、フロントから内線で「日本の方から電話が入っています」と連絡が入る。受話器を取ると、韓国にもう30年以上暮らしている長年の知人。ここ5、6年は互いに連絡を取り合っていなかった。実に久しぶりだ。

氷点下の寒さの中、ソウル市中区保健所の臨時検査所に並ぶ市民

氷点下の寒さの中、ソウル市中区保健所の臨時検査所に並ぶ市民

 知人はネットサーフィンしていたら、何と偶然にもこの「ソウル隔離生活体験記」を目にし、筆者が今、隔離生活をしていることを知ったという。14日隔離の最終日である今日を逃せば連絡できなくなると思い、思い切って電話を入れたのだという。

知人:今日で最終日みたいだね。

筆者:そうです。長かった。

知人:ひょっとして隔離生活の体験記を書くのが今回の韓国訪問のミッション?

筆者:いえいえ、まさか。そこまで物好きじゃありませんよ。仕事です。

 出版社に勤務していた知人はその後、韓国の大手生保に転職したという。職場は筆者が隔離解除後に宿泊するホテルに近い。解除後に会うことを約束した。

 隔離解除前のPCR検査を受けるため、午前9時に合わせてまた保健所に行った。臨時の検査場にはもう20人以上が列を作って待っていた。多くの人は体調に異変はなくとも無症状で家族にでも移したら大変という思いから、自発的に検査を受けに来た人たちのようだった。

 この日の最低気温はマイナス9度。ずっと暖かい部屋に閉じ込められていた体には堪える。自分の順番が来るまで外で40分待ち、ホテルと保健所を徒歩で往復した時間を含めると1時間以上も外にいたことになる。体の芯まで冷え切った。

 ホテルに戻るとフロントから内線が入った。「明日、退所ですが、何時頃のご予定ですか。朝食はお持ちしましょうか」。いよいよ終わるなという実感が湧く。

 夜、緊急ニュースが入ってきた。

 「李明博元大統領も収監中のソウル東部拘置所で収容者180人以上の集団感染が発生。李元大統領は検査の結果、陰性だったが、感染が発生した棟は閉鎖される…」

 とにかく人が多く集まる場所はリスクが高く、無条件に警戒しなければならないようだ。

 今回の韓国訪問は仕事の関係でどうしても来なければならない事情があってのことだった。覚悟はしていたつもりでも14日間の隔離はそれなりに精神的な苦痛が伴い、できれば避けたい選択だ。

 日本や韓国だけでなく世界中がコロナで始まり、コロナで終わってしまいそうな2020年だが、米国や欧州ではワクチン接種がスタートするなど明るい動きも出始めている。次回、韓国に来る時にはもう14日隔離なんてなくなっていて欲しい! 来年はコロナを気にせず外を闊歩したい! そんな思いを強く抱きつつ、体験記を終えたい。(終わり)

(ソウル・上田勇実)

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