ワシントン・タイムズ・ジャパン

保健所呼び出し、寄り道厳禁


《ソウル隔離生活体験記(2)》

徹底した接触可能性者あぶり出し

【12月7日(月)2日目】

 6時過ぎに起き、顔を洗って身支度していると、6時半前にドアの前にビニール袋のようなものが置かれる音がした。ドアを開けてみると、その日の朝食が入った袋だった。サンドイッチと果実ゼリー、菓子などが入っていた。

ドアの前に置かれた朝食

ドアの前に置かれた朝食

 午前中、仕事をしているとホテルのフロントから何回か筆者の韓国内居住地などを確認する内線電話が入った。また10時半くらいに突然、携帯が警報音でけたたましく鳴った。表示内容を見ると、「中央対策本部 11.26~12.4梨泰院ウェスタンラウンジ、ツーペアー、ダイス、ジェントルラビット、KMGMの営業所訪問者は保健所で検査を受けて下さい」と表示されてあった。濃厚接触者の可能性がある人を徹底的にあぶり出し、封じ込めようという措置だ。韓国の保健所も大変そうだ。

 14日隔離が終わった後に取材する予定の人たちにカカオトークで韓国に無事到着した旨を伝えると、「くれぐれも気を付けて過ごして下さい」「隔離生活ファイト!」「ご苦労様です」「ちょっと退屈でしょうが、ゆっくり休んで」等々、激励を頂いた。ありがたい。

 昼食の弁当は11時半に配られた。さながら拘置所に留置されているような気分だ。結構ボリュームがあってうまかったが、これを韓国料理に不慣れな外国人が食べたらさぞかし辛いだろうな、と思う。

 午後、ホテルのフロントから「承認された」と内線電話がかかってきた。保健当局から14日間の自治体施設での隔離が正式に承認された、という意味らしい。

 14時半すぎ、ようやく保健所に行ってほしいとの連絡が入った。しかも、なんと歩きで。ただ、絶対に寄り道したり道草を食ってはダメと釘をさされた。コンビニもダメだと。だが、GPSを常にオンにしておけとは、まるで犯罪者扱いだ。

 フロントでソウル市中区保健所までの地図をプリントアウトしてもらい、ビニール手袋をはめて行くように言われ、いざ外出。保健所までは徒歩で20分くらいだったが、知り合いが住んでいる新堂駅のすぐそばだった。こうして外を歩けるのはPCR検査の時だけだと思うと妙に嬉しくなるものだ。この日は近年の冬のソウルにしては珍しく、中国から流れてくる粉塵による大気汚染もなく青空が広がっていた。

保健所まで徒歩で移動

保健所まで徒歩で移動

 韓国の保健所でのPCR検査は建物の外に設置された仮設小屋で行われた。専用の綿棒を鼻の奥に突っ込んで5秒ほどグリグリとやった後、もう1本の綿棒で今度は喉の奥に突っ込んで「アー」と声を出させる2段構え。鼻咽頭ぬぐい液というものを採取するといい、成田空港での唾液採取に比べ、あっと言う間に終わるが、終わった後、少し匂いが鼻に残って違和感がある。翌日の午後に結果を知らせるということだった。

 保健所からの帰り道、また携帯から警報音がけたたましく鳴り始めた。「ソウル市中区で140~144番目の感染者が発生」の知らせだ。それぞれの居住地域、年齢、感染経路、症状が出始めた日と感染が確認された日などが記され、居住地周辺の消毒を行う予定だという。

 そして夕食後、今日3回目の警報音。「明日からソーシャル・ディスタンスが首都圏で2・5段階に引き上げられます。必須の外出以外は自宅にとどまり、マスク着用など個人防疫手順を遵守しましょう」。

 確かに感染者は増加中だが、日本に比べれば抑え込みに成功している。もっとK防疫に自信を持ってもいいのではないか。リアルタイムでグッドタイミングなのはいいが、ちょっと大げさな面があり、それは臆病の裏返しなのだと思う。

(ソウル・上田勇実)

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