ワシントン・タイムズ・ジャパン

⑥ヤクザにだけはなるな

《日本経営者同友会会長 下地常雄回想録 (第2部)》

 叔母さんの家は男の子4人だから、私を入れれば男の子5人となった。饅頭なんかあっても子供の頭数で割れば、食った気もしない。

上京時に使ったパスポート

上京時に使ったパスポート

 おばあ(祖母)は、自分で食べないで、着物の懐の中に入れてぺったんこになった饅頭を私にこっそり食べさせてくれた。

 そういう事はしょっちゅうあった。特別目をかけてもらっていたと思う。「おばあとすれば常雄は親のいない孫だから、かわいかったのかもしれないし、母親を亡くして甘えられない孫が不憫でもあったのだろう。
 
 そうした私も高校受験を迎えていた。宮古島の家というのは高床式で縁側が高く、床下に入ることができた。たまたま床下に入って遊んでいた。すると上で、叔母たちが話をしていた。
 
 「常坊、高校生になるけど、学費もあるからなー」するとおばあは「土地でも売って払えばいい」と言っていた。
 
 それを聞いて、迷惑をかけるなと思って後日、私は叔母たちに「勉強は嫌いだから、高校には行かない」と告げた。たまたま集団就職の募集があった。東京で高校の夜学に通いながら働けるというものだ。
 
 それに応募した。見送ってくれたおばあの言葉は「お前は気が短いから、ヤクザに絡まれれば立ち向かって命を落とすかもしれない。ヤクザにだけは絶対なるな」だった。
 
 それでおばあには「ヤクザにはならないから」と誓って島を離れた。

0

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。