ワシントン・タイムズ・ジャパン

米軍を蝕むマルクス主義、兵士に反米を植え付け

 中国が台湾に武力侵攻するシナリオがいよいよ絵空事ではなくなってきた。中国の急速な軍備増強によって米国の軍事的優位が大きく揺らいでいることが、その懸念を強めている。

米国防総省(ワシントン郊外)

米国防総省(ワシントン郊外)

 だが、不安を抱かせるのは、兵器の質や量といったハード面だけではない。日本の大手メディアや専門家は全く関心を払わないが、米社会に分断をもたらしている過激な左翼イデオロギーが米軍内に持ち込まれ、兵士たちの士気や結束が著しく蝕(むしば)まれるという状況が生まれている。

 米軍にマルクス主義が浸透していることを告発して解任されたマシュー・ローマイアー宇宙軍中佐の著書『抵抗できない革命』を読むと、米軍の「内部腐食」の深刻さに愕然(がくぜん)とさせられる。多様性・包括性トレーニングの名の下で、米国は白人が有色人種を虐げる邪悪な差別国家だという、国民を抑圧者と被抑圧者に分断するマルクス主義に基づく反米思想が兵士たちに教え込まれているというのだ。

 例えば、ローマイアー氏が所属していた基地では昨年、上層部から2本のビデオを見るよう指示された。一つは、米国史を人種差別の歴史として断罪する内容で、特に合衆国憲法は白人が黒人を支配する社会秩序を維持するために制定されたというのだ。敵から憲法を守ることを宣誓して入隊した兵士たちに、憲法は白人至上主義そのものだと教えているのである。

 もう一つは、トランプ前大統領ら共和党政治家を人種差別主義者、民主党政治家を黒人社会の味方として描いたビデオだった。当時、米軍の最高司令官だったトランプ氏を悪人のように扱う偏った動画を兵士たちに視聴させたことは、政治的中立性が失われた米軍の実態を物語るものだ。

 ローマイアー氏によると、米軍が極端に左傾化した結果、愛国心が強く保守的な考え方を持つ兵士が軍を去るケースが後を絶たない。左翼的価値観に同意しない者は人種差別主義者、過激思想の持ち主と見なされ、米軍内で居場所を失っているためだ。

 ローマイアー氏は直接面接した現場兵士たちの話を多数紹介しているが、保守的なキリスト教の家庭で育ったある男性兵士は、米軍で学んだ世界観があまりに異なるため、家庭で間違ったことを教わってきたのではないかと思い悩んでいるという。

 兵士たちの多くは米国を誇りに思い、国を守るために命を捧(ささ)げる覚悟で入隊している。ところが、米国は邪悪な人種差別国家と教えられることで、「何のために戦うのか」というアイデンティティー・クライシスに陥ってしまっているのである。

 軍のハイテク化が進んでいるとはいえ、実際に兵器を動かして戦うのは生身の人間。兵士たちの士気が戦争の勝敗に決定的影響を及ぼすことはいつの時代も変わらない。

 米国では建国の理念や伝統をめぐる熾烈(しれつ)な「文化戦争」が繰り広げられている。台湾海峡が緊迫度を増す中で、米軍までもが文化戦争の“戦場”と化してしまったことは、同盟国・日本としても深刻に憂慮すべき事態である。

 編集委員 早川 俊行

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