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景気後退の契機になる恐れ 半月に迫った消費税増税

《 記 者 の 視 点 》

 10月から消費税の税率が現行の8%から10%へ引き上げられる。2014年4月以来5年半ぶりの増税である。

 今回は過去の増税後、消費低迷が長引いた苦い経験を踏まえ、政府は2兆円超の経済対策を準備し、また飲食料品など一部の税率を据え置く軽減税率を導入する。増税の負担感を少しでも和らげようと政府も必死の様子である。

 特に今回初めて導入する軽減税率には、対象となる品目の線引きの分かりにくさに加え、コンビニやファストフード店などで、同じ品目でも店内で食べる場合と持ち帰る場合とで税率が異なるという煩雑さがある。飲食店でも店内と出前で違うなど煩雑さは同様。さらに、それに対応したレジ導入や改修も必要になる。

 9月に入って増税実施まで1カ月を切ってくると、新聞・テレビは外食各社の対応ぶりを連日報道。本紙でも5日付で牛丼3社、10日付で天丼てんや、11日付でマクドナルドの対応を伝えた。

 全体的には、持ち帰り客の多いハンバーガー、牛丼などのファストフードでは客の混乱防止を避けるため、店内・持ち帰りで税込み価格を同じにするチェーンが目立つ。一方、持ち帰りの少ないファミリーレストランなどでは店内と持ち帰りの価格を分けるケースが多いようである。

 とはいえ、同じ業界でもチェーンによって対応は異なっており、顧客の混乱は避けられないだろう。

 最も気になるというか懸念されるのは、やはり、増税の経済に与えるマイナスの影響と実施する時期の悪さである。

 マイナスの影響については、確かに経済対策や軽減税率の導入により、ある程度は緩和されよう。しかし、増税がもれなく国民全体が対象になるのに対し、ポイント還元ではキャッシュレス決済する人などに限られて部分的であること、またレジ対応が十分に整うかなどの問題から、準備した対策が規模通り、想定通りの効果を発揮できるか不確かな点がある。

 実施時期の悪さは、もう自明であろう。増税は本来、景気が過熱気味の時に実施するものである。インフレを抑制するためであるが、現在の日本経済はインフレではない。日銀が副作用をも顧みず大規模緩和を続けるのも、いまだに2%の物価上昇目標を果たせないためである。

 景気の現状は緩やかな拡大を続けており、山も谷も深くはないから、その意味では増税をいつ実施しても状況は同じと言えなくもない。しかし、世界経済は米中貿易摩擦を契機に減速化し、終わりの見えない展開にさらなる下振れリスクも懸念される。

 今年4~6月期の国内総生産(GDP)は、改定値で実質前期比0・3%増、年率1・3%増に下方修正された。米中貿易摩擦の影響から設備投資が0・2%増と速報値(同1・5%増)を大幅に下回ったためで、伸びない個人消費、振るわぬ輸出と日本経済は牽引(けんいん)役が不在になりつつある。そんな中での増税である。

 増税後、特にポイント還元策が終了する20年7月以降に景気後退入りしていないか心配している。

 経済部長 床井 明男

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