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足元固め改憲へ反転を

編集局長代理・政治部長 早川一郎

 今回の内閣改造・自民党役員人事は、官房長官や幹事長などの骨格を維持しつつ、安倍首相に近い「お友達」を外して、挙党態勢の再構築を狙ったものだ。安倍「1強」体制の下で、謙虚さを欠く首相の国会答弁が目立ち、先月の都議選の惨敗および内閣支持率の急落を招いたことでの追い込まれ人事の印象が強い。

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 国民の疑問に真正面から丁寧に答え、失態を繰り返しながらも側近をかばい続けるような「身びいき」の体質を改めなければ目先の人事をいくら行っても政権浮揚はあり得ない。また、野党がだらしないから結果として多数をもらったのが自民党であることを首相は忘れてはならない。野党時代の反省を踏まえ長期政権のおごりと緩みを猛省して足元を固め直し、改革の本丸である憲法改正に向けて反転攻勢に出てもらいたい。

 最も注目したいのが岸田文雄氏を外相から党の政調会長に移動させた人事だ。「ポスト安倍」の最有力候補の一人と言われながら党務経験の薄い岸田氏にとっては待望のポストだ。閣内にあって岸田色を一切出せなかったが、いよいよ来年9月の総裁選に向けて一歩を踏み出せることにもなる。3選を狙う安倍首相にとっては思い切った決断だが、岸田氏の希望に応えなければならないほど挙党態勢を築くことが困難であることの証左だろう。 懸念されるのは、党内が改憲論議に慎重になり過ぎ、今秋の臨時国会に自民党案を提出することや2020年に新憲法を施行するというスケジュールを後ずさりさせないかだ。党の政策策定の責任者である岸田氏は、首相の改憲提案後も「当面9条の改正は考えない」との立場で首相との温度差を露呈している。

 首相が「結果を出して信頼を回復していく」と言うなら改憲を叫んでいるだけでは駄目だ。改憲を成就するための高度な政治的手腕も問われているのである。現在、改憲案の策定は党憲法改正推進本部が主導しており、慎重な議論を積み上げつつ高村正彦副総裁や二階俊博幹事長にも強力なリードを求めたい。

 先の国会やその後の閉会中審査では、野党や一部マスコミが“共闘”して森友学園や加計学園に関する不毛な論議を展開した。そのさなか、北朝鮮は大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射し日米共有の新段階の脅威となった。中国やロシアは領海、領空侵犯を繰り返してきた。国家がいま直面している根源的問題である安全保障・憲法改正問題は喫緊の課題のはずである。

 野党第1党の民進党も代表選を事実上スタートさせているが、「反安倍ありき」ではなく「国益ありき」の立場から議論を深めてもらいたい。

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