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前川元文部科学次官は何と戦っているのか!?

 加計学園が経営する大学に関して、前文部科学省事務次官、前川喜平氏の言動が世間を騒がしている。加計学園の獣医学部新設を認可する際に総理の意向が働いた可能性を示唆する出所不明の文書を次官時代に確かに見たと証言し、さらには「行政が歪められている」と言い出したのだ。

前川元文部科学事務次官

前川元文部科学事務次官

  デモクラシー国家において、本当に行政が歪められているのならば由々しき事態である。そこで、本稿では、氏が言うところの「行政が歪められている」の内容を明らかにしたい。
 その伏線として、氏の言動と獣医学部新設に対する文科省のこれまでの態度をおさらいしておこう。
(1) 前川氏は世界3大冷凍機メーカーと言われる前川製作所の御曹司で、自民党文教族の大物、中曽根弘文氏の義兄である。
(2) 平成17年に義務教育国庫負担を減額する行財政改革に個人のブログで反対論をぶった
(3) 違法な天下り斡旋を行い、懲戒処分を受け、その後辞任した。
(4) 歌舞伎町の出会い系バーに入り浸り女性にお小遣いを渡していたが、その理由を「品行調査」と弁明した。
(5) 文科省は獣医不足に悩む地域社会からの要請よりも獣医学会の要望を重視し、52年間に渡り、学部新設を一切認めてこなかった。

 こういった状況証拠から推測できる人物像は、まさに「利権と閨閥に守られたエリート中のエリート」「天下りという最後の詰めで挫折した官僚」であり、小泉改革の時代の流行語、「守旧派」の代表といったところだろう。

 6月1日のテレビ朝日番組での独占インタビューは、その推測が偏見ではない事を裏付けた。曰く
「(かつては)内閣人事局がなかった」
「霞が関は半分以上権力に仕える装置になっていると思う」
「官邸の力が強くなっている」
「私、座右の銘が『面従腹背』なんです」

 官僚の物言いは分かりにくいので、翻訳すればこうなる。
(1) 官僚よりも政治家が権力を有する現在は異常である。
(2) 官僚の人事は政治家ではなく官僚がやるべきである。
(3) 人事を握られている現在は政治家に表立って逆らえないが、裏で抵抗すべきだ。

 こう考えると、出会い系バーの一件を除けば、極めて筋の通った行動をしている。官僚が世の中を動かし、その見返りとして天下りし、美味しい思いをしていた時代が懐かしくて仕方ないのだ。官僚支配・官僚天国こそ正義と信じ、その天国を守るためには時に政治家とも戦う。そう考えると前川氏が省内で人望があるのも頷ける。

 しかし、そんな時代は20世紀で終わった。1998年のノーパンしゃぶしゃぶ事件以降、財務官僚(当時は大蔵官僚)でさえ、露骨に甘い蜜は吸えなくなった。その結果が自腹での出会い系バー通いと援助交際なのだろう。まさに時代遅れのドン・キホーテではないか。

 そんな彼を、ただただ反安倍政権というだけで持ち上げようとする人たちがいる。しかし、よくよく考えてほしい。彼が戦っているもの、彼が否定するもの、彼が「歪んでいる」と称するもの。それは決して安倍政権ではない。「官僚が世の中を動かしている」と言われた昭和の時代から、我々日本国民が少しずつ政治改革、行政改革を重ねて積み上げてきた日本のデモクラシー。選挙を通して、政治家を通して、国民の要求が政策に反映される社会そのものである。

 前川氏には、官僚を信じず政治家を通じて物申す平成の世の日本国民など皆「愚劣な大衆」に見えるのかもしれない。しかし、それは歌舞伎町の出会い系バーに入り浸る不良少女との交流を「貧困調査」と称するのと同様の錯誤、又は欺瞞である。

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