«
»

「オール沖縄」を拒否―うるま市民

知事派の市長選は5連敗

 任期満了に伴う沖縄県うるま市長選は、無所属現職の島袋俊夫氏(64)=自民、公明推薦=が3万1369票を獲得し、前県議で翁長雄志知事を支持する「オール沖縄」の山内末子氏(59)=社民、共産、社大、自由、民進推薦=に5753票差をつけて3期目の当選を果たした。

800

当選が決まり、元市長の知念恒男後援会長と握手する島袋俊夫氏=23日、沖縄県うるま市の選対

 当確を受け島袋氏は開口一番、「職員の尊厳をかけ、市民の良識を問う選挙だった」と振り返った。選挙期間中、山内陣営が「市長は国保税を滞納している家庭の児童手当から天引きしている」というウソの情報を流し続けたことで、市の職員の名誉が傷つけられたからだ。誹謗中傷のビラや演説に市民が騙されなかったことを「誇りに思う」と表現した。

 知事派の「オール沖縄」勢力は、市長選で昨年の宜野湾に続いて、今年の宮古島、浦添に続く敗北となった。候補者の擁立すらできなかった糸満を含めると5連敗だ。11人の市長のうち、知事派は那覇と名護の2人のままだ。

 「オール沖縄」はこれまで、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設反対を強調するあまり、内部分裂や政策不一致を招いた。この経験から、うるまでは「辺野古」の争点化を避け、陣営内がまとまっていたように見えたが、市民は「詐欺行為にも等しい沖縄特有のいつもの戦術」「全く財源の裏付けのない無責任な公約や、空虚なキャッチ(コピー)」(古屋圭司・自民党選対委員長)にノーを突き付けた。

 「オール沖縄」が一連の市長選で多用したキーワードが「基地の押し付け」「構造的差別」「沖縄ヘイト」「強権的政治」だ。「安倍政治を許さない」と政府に楯突いてばかりで、財源の裏打ちある政策を提示しない姿は、地方選挙にはふさわしくない。2012年の知事選の翁長氏のキャッチコピー「イデオロギーよりアイデンティティ」に反するものだった。

 沖縄は現在、経済成長率、有効求人倍率でかつて経験したことのないほど好況だ。中でも、うるま市は一括交付金や経済特区の恩恵を受け、失業率は5年間で10ポイントも改善させた。

 市政を「チェンジ」させる必要性を市民は見出さなかった。政府と対立することが、市の将来に何も良いことをもたらさないことを理解していた。

 インタビューの中で島袋氏は「翁長知事を支える『オール沖縄』の考え方を、それぞれ特性のある市町村に持ち込むことは間違っている。市民本位になるべきだと思う」と述べた。「選挙カー、運動員、チラシなど物量で圧倒されながらも勝てたのは市民の『思い』だ」と締めくくった。

 翁長氏は選挙戦終盤、精力的に現地入りして演説したが、地方選では「オーラ」も「神通力」も見る影をなくしている。23日夜、翁長氏は選対本部に姿を現さなかった。負けのイメージが付きまとうのを避けたかったのだろうか。敗北という現実としっかり向きあう勇気を持って、「辺野古」反対の一辺倒ではなく、県民本位の政策への転換が必要だ。

(那覇支局・豊田 剛)

9

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。