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テロ等準備罪、対策強化へ速やかな成立を

 「共謀罪」の構成要件を改め「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が、国会で実質審議入りした。テロ対策強化のため、速やかに成立させる必要がある。

 法案が実質審議入り

 安倍晋三首相は「テロ対策は喫緊の課題だ。組織的に行われる重大な犯罪の未然防止に資する」と、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた法整備の必要性を強調した。会期末の6月18日まで残り日数は多くないが、今国会成立に全力を挙げなければならない。

 本来であれば、もっと早く共謀罪を創設すべきだった。この罪は犯罪を実行しなくても謀議に加わったことを構成要件とするものだ。03年以降、3度にわたって共謀罪新設のための法案が国会に提出された。だが、野党の批判を受け、いずれも廃案になっている。

 組織的なテロの防止を目的とした国際組織犯罪防止条約は、共謀罪を規定した国内法の整備を締結の条件としている。このため、日本はいまだに締結できていない。これではテロ対策での国際協力にも支障を来しかねない。その意味でも「テロ等準備罪」法案の早期成立が求められる。

 この法案で政府は、謀議だけでは犯罪にならないようにするなど要件を厳格化し、対象犯罪を277に絞り込んだ。適用対象もテロ集団のほか、暴力団や麻薬密売組織などの「組織的犯罪集団」と規定している。

 それでも、野党は捜査権の乱用で一般市民も捜査・監視の対象になる余地があるとみて徹底抗戦の構えを示している。法案を廃案に追い込み、安倍政権批判を強める狙いだろう。

 野党は共謀罪法案の時も「一般の市民団体や労働組合も対象になる」「居酒屋で同僚に『上司を殴る』などと相談しただけで処罰される」などと批判し、国民の不安をあおった。だが、こうした批判は全く根拠がなく、無責任なものだ。国民の安全よりも党の利益を優先していると言われても仕方がないだろう。

 テロは現在、世界中で頻発している。大統領選の投票日を控えたフランスのパリでは、銃撃で警官1人が死亡し、2人が負傷。過激派組織「イスラム国」(IS)系メディアのアマク通信は「ISの戦士が実行した」と事実上の犯行声明を出した。

 先月末にはロンドン中心部、今月初めにはロシア第2の都市サンクトペテルブルクでもテロが発生している。ISは日本をテロの標的にすると繰り返し表明している。

 五輪のような大きなスポーツイベントでは過去にもテロが生じている。1972年のミュンヘン五輪では、パレスチナ武装組織がイスラエル選手団の宿舎を襲撃して11人を殺害した。

 2013年のボストン・マラソンでは、ゴール付近でチェチェン系の兄弟が仕掛けた爆弾2個が爆発し、子供を含む3人が死亡した。東京五輪に向け、テロ対策を強化するのは当然のことだ。

 本格的な情報機関設立を

 テロに備えるには「テロ等準備罪」新設のほか、本格的な情報機関の設立も求められよう。政府は検討に入るべきだ。

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