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テロ等準備罪、未然防止へ何としても成立を

 政府は「テロ等準備罪」の創設を柱とする組織犯罪処罰法改正案を国会に提出した。過去に3度も同趣旨の法案が提出されたが、廃案になっている。

 だが、テロなどを未然に防ぐのが主たる目的であり、政府・与党は何としても成立させるべきである。

 野党は徹底抗戦の構え

 法案は2003年に国会承認された国際組織犯罪防止条約を締結するための国内法整備で、政府は20年東京五輪・パラリンピック開催に向けたテロ対策と位置付けている。しかし民進、共産など野党は、廃案に追い込もうと徹底抗戦の構えだ。

 その理由は「恣意(しい)的な判断で一般市民にも適用されかねない」というものだ。その上、既存の法律で十分にテロを防止できると主張するとともに国際組織犯罪防止条約も同法がなくても批准可能との見方を表明している。だが、その論拠は明示されていない。

 一般市民への適用を懸念する向きが挙げる例の一つとして「複数の社員が飲み屋で、厳しい上役を殴り付けようと相談しただけで罪になる」がある。これを逆に読めば「反対理由とも言えない口実しかない」ということになる。これでは、公表できない反対理由があるのかと勘繰られても仕方がないだろう。

 テロ、殺人、窃盗を実行していないのに罪に問うのは「日本の刑法の原則に反する」と主張するメディアもある。「計画していても、思い返して取りやめる場合もある」ということが、反対理由とされている。テロ行為などが多数の国民を殺傷しているわが国や諸外国の事件を思い出すべきだろう。事前に防止し得た場合、同種の行為を実行しようとする者たちに思い返させる効果も期待できる。

 ただ、法案に問題なしとは言えない。野党の反対や公明党の慎重論を考慮して法案が極めて煩雑になっている点である。

 法は詳細に規定すればするほど、立法趣旨に沿った優れた法とは言えなくなる。詳細な規定の間隙をくぐり抜け、逆に多くの抜け道ができるのが普通だからだ。麻薬や危険ドラッグの取締法あるいは詐欺罪の場合で、われわれは経験しているところである。

 その結果、法が適用できなくなってしまう。法はそれを犯す者がいることによってではなく、適用しないことによって形骸化することを肝に銘じておくべきだろう。オウム真理教事件に適用できずに形骸化した「破壊活動防止法」などは、その典型である。

 また、政府当局者が「一般市民は対象とならない」ということを強調している点も気になる。テロリストは一般社会に潜んで善良な市民を装いながらチャンスを待つのが戦術である。わが国の一部の過激派集団のように、要塞(ようさい)のように防御設備を完備した家屋に住み、自己の主義主張を公言している輩(やから)ではないのだ。

 国内の過激思想に対処を

 かつて日本では左翼過激派によるテロが相次いだ。現在も過激な思想を持った日本人が減っているわけではない。こうした者たちに対処するため、早期に法案を成立させるべきである。

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