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「18歳選挙権」は成功だった

 昨年、行われた参議院議員選挙で選挙権が18歳以上に引き下げられた。若者の政治参加が課題となる中、挑戦的な試みであったと思う。筆者は、18歳以上に引き下げられたことは成功だったと考える。その理由について述べていきたい。

 大きな理由として大学生の学費に関する政治問題がある。筆者も含めて、多くの大学生が銀行の学資ローンを利用し、さらに日本学生支援機構の返済しなければならない奨学金を利用している。このため、大学卒業後、返済できる十分な収入がなく、給与などが差し押さられる事例が発生している。また、低所得層は返済する余力もないために、大学への進学をあきらめることになり、教育の機会の公平性が揺らいでいる。

 だが、選挙権を18歳に引き下げたことにより、給付型奨学金や教育費無償化と言った政策が、各政党から相次い出てきた。政府与党は、給付型奨学金の創設を参院選の公約に掲げたし、野党共闘勢力も同じく給付型奨学金の創設を訴えた。改革保守系野党の日本維新の会は、憲法改正により高等教育までの教育費無償化を政策に掲げた。結果、平成29年通常国会が始まると、憲法改正を進めたい安倍総理と利害を共有する日本維新の会の教育費無償化を憲法典に明記することを飲んで、安倍自民党も憲法改正による教育費無償化に前向きな姿勢になってきた。経済政策の面から考えても、未来への投資となるこの政策は是非とも進めるべきだが、18歳選挙権が解禁されるまでは議論されることすらなかったことだ。選挙権年齢の引き下げによる効果だと言える。

 さて、18歳選挙権の引き下げを迎えるにあたり、若者の政治参加について保守の立場から、また等身大の大学生の立場から言論活動を続けてきた産経新聞iRONNA特別編集長の山本みずき氏は、iRONNAに掲載された自身のコラムにおいて、「高齢者には高齢者の不満があり、若者には若者の不満があって当然であるが、選挙を通してわれわれ国民が世代間闘争を繰り広げる必要性は一体どこから生じるのだろうか」と疑問を投げかけている。恐らく「嫌老社会」を懸念しての主張なのだろう。

 だが、現実に世代間闘争は発生しているのではないだろうか。これまでの社会保障政策といえば、高齢者に偏重した政策ばかりが並び、国会でも若い世代に対する社会保障政策は、あまり議論の対象とはならなかった。18歳選挙権が解禁されて以来、メディアを中心に“シルバーデモクラシー”の弊害について積極的に議論されたことにより、若い世代の政治に対する関心が高まった。10代、20代の投票率も高かった。そして、参院選後の国会での議論や与野党の議論を見ていると、高等教育までの教育費無償化または給付型奨学金などについて積極的に議論されるようになり、政治家のSNSをみていると若い世代への疑問にも答えるようになっている。結果として、世代間闘争の様相だったからこそ、若い世代が政治に影響力を発揮することになったといえるのではないだろうか。社会保障政策といえば、年金問題を中心に高齢者のための政策というイメージが先行していたが、若い世代への社会保障の議論を勝ち取ることが出来た。これは、確かな結果であると筆者は思う。

 今年は東京都議会選挙が行われる。小池都政支持勢力が、どのような政策を打ち出すかはまだこの段階はでは分からないが、若い世代が地方政治にも参加することで、地方自治のアンチエイジングにも期待したい。18歳選挙権引き下げを“一時のお祭り”に終わらせてはいけない。

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