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日米韓連携、韓国内政の混乱が懸念材料

 岸田文雄外相とティラーソン米国務長官、韓国の尹炳世外相はドイツ・ボンで3カ国外相会談を開き、北朝鮮の弾道ミサイル発射を「最も強い表現で非難する」との共同声明を発表した。

 今後の北朝鮮の挑発に備えるためにも、日米韓による安全保障協力の一層の強化が求められるが、韓国の内政の混乱が大きな懸念材料だ。

 サムスントップを逮捕

 北朝鮮の弾道ミサイル発射は国連安全保障理事会決議に違反するものだ。共同声明は、決議違反が「より強力な国際的対応に直面する」と指摘。日米韓外相がこうした動きを主導していくことで一致したと明記した。3カ国外相は北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏殺害事件についても話し合った。

 日米韓外相会談はトランプ米政権発足後初めて。米国が日韓両国に呼び掛けて実現したものだ。米国は北朝鮮の核・ミサイル開発を、アジア太平洋地域だけでなく、米国の安全保障を脅かす「最も喫緊の課題」と位置付けている。

 北朝鮮が今回発射したミサイルは、中距離弾道ミサイル「ムスダン」の改良型との見方が強い。ムスダンの射程は2500~4000㌔と推定され、米領グアムにも届く。グアムには米軍基地があり、米国が危機感を強めるのは当然だろう。

 しかし現在、日韓関係は冷え込んでいる。昨年末に韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置された問題で、日本政府は長嶺安政駐韓大使らを一時帰国させた。撤去に向けた韓国側の具体的な動きなしには大使らを帰任させない方針だ。

 日米韓外相会談後に行われた日韓外相会談で、岸田外相は慰安婦像について「極めて遺憾だ」として改めて撤去を要求。尹氏は、外国公館前の設置は適切ではないとの認識を示し、「可能な限り最大限の努力を引き続き行っていく」と伝えた。

 もっとも韓国では朴槿恵大統領が職務停止となっており、指導力を発揮できない状況に陥っている。さらに朴大統領の親友、崔順実被告らをめぐる疑惑をめぐって、サムスングループの事実上のトップ、サムスン電子副会長の李在鎔容疑者が贈賄などの疑いで逮捕されるなど混乱が拡大する一方だ。

 こうした韓国の情勢は、米国のアジア戦略にも悪影響を与える恐れがある。韓国の憲法裁判所による弾劾審理で、朴大統領が罷免された場合、罷免後60日以内に大統領選が行われる。

 左派の最大野党「共に民主党」の前代表で、大統領選の有力候補である文在寅氏は、最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍への配備を「先送り」することを求めている。文氏は北朝鮮への融和路線で知られ、次期大統領に当選した場合、日米韓の連携に支障を来す恐れもある。

 安保協力を着実に進めよ

 日米韓外相会談で、ティラーソン長官は米国が同盟国である日韓両国に対する防衛上の関与を断固として維持することを改めて表明した。来月には米韓合同軍事演習も行われる。安保協力を着実に進める必要がある。

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