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岸田外相訪露、領土返還が経済協力の前提だ

 ロシアを訪問した岸田文雄外相が、プーチン大統領、ラブロフ外相と会談した。今月半ばの日露首脳会談に向け、北方領土問題を含む平和条約締結交渉や経済協力に関する調整を行うためだったが、北方四島の返還が経済協力の前提であることを忘れてはならない。

大統領や外相と会談

 岸田外相はプーチン氏との会談について「領土問題、平和条約締結問題について、わが国の考え方をしっかり伝えた」と述べた。安倍晋三首相の親書をプーチン氏に手渡すと同時に、プーチン氏からも首相宛ての親書を受け取った。

 一方、ラブロフ氏との会談では、15日に山口県長門市で行われる安倍首相とプーチン氏の首脳会談に向け、平和条約交渉の進展を目指すことで一致した。ただ、ラブロフ氏は「双方の原則的立場を近づけるのが容易でないのは明らかだ」と述べ、日本側を牽制(けんせい)した。

 北方四島は日本固有の領土であり、日本は粘り強く返還を求めていく必要がある。先月にはロシア軍が国後島、択捉島に最新鋭の地対艦ミサイルを配備したことが明らかになった。不法占拠を正当化するようなロシアの動きは許されない。

 安倍首相は5月、ロシアのソチでの首脳会談で、プーチン氏に経済分野を柱とする8項目の協力プランを提案した。領土交渉を前に進める環境を整備するため、経済協力のカードを切った形だ。しかし、ロシア側に領土問題をめぐる誠実な姿勢は見られない。安倍首相は先月、ペルーの首都リマでプーチン氏と会談したが、領土問題で大きな進展は見られなかった。

 プーチン氏は北方領土について「第2次大戦の結果であり、今日ロシアが主権を持つ領土である」との立場だ。平和条約締結後に北方領土の歯舞群島と色丹島の2島を引き渡すことを明記した1956年の日ソ共同宣言は「どのような根拠に基づき、誰の主権下に置かれ、どのような条件で引き渡されるのかが示されていない」と述べ、さらに交渉が必要としている。

 プーチン氏は北方領土で日本との「共同経済活動」を優先させたい考えだ。経済協力の対象地域を北方領土に広げることを想定している。これについて、岸田外相が「わが国の法的立場を害さないことが大前提だ」と語り、ロシアが一方的に施政権を行使する前提では応じられないとの考えを重ねて示したのは当然だ。本格的な経済協力の前提は北方四島の返還であり、この点で譲歩してはならない。

 プーチン氏は今月初め、恒例の年次教書演説を行った。この中で日本との関係について「われわれは共同のプロジェクトやプログラムに乗り出すことにより、ロシアとの経済的結び付きを促進させることに日本の指導者たちがコミットしていることを歓迎する」と述べたが、北方領土や平和条約締結の問題を示唆するような言及はなかった。

 「領土置き去り」を避けよ

 日露間で経済協力のみが進展し、領土問題が置き去りにされる事態は避けなければならない。安倍首相は領土問題解決を最優先に、プーチン氏との会談に臨んでほしい。

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