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小池新党よりも都議会自民党のクーデターを

 291万票という都民の圧倒的な支持を受けて小池百合子都知事が誕生した。この得票数は、自公に推された増田寛也氏179万票、民共の支持を受けた鳥越俊太郎氏135万票の合計数に近く、歴代でも4番目の高得票数である(平成24年の猪瀬直樹氏433万票、昭和46年の美濃部亮吉氏361万票、平成15年の石原慎太郎氏308万票に次ぐ)。既存政党の多くが増田氏と鳥越氏に付いた上での結果という点を勘案すれば、大阪に橋下徹氏が登場した時に匹敵する激震と言っていいだろう。

 小池氏の圧勝と都議会自民党幹部達の小池氏に対する不遜な対応を受け、一部のメディアは「小池新党」の誕生に期待し始めている。

 しかし、私は小池新党の立ち上げは、小池氏自身の政治的生命を脅かすだけでなく、国政や都政に対しても何らいい影響を与えないと確信している。理由は以下のとおりである。

1)橋下徹氏が登場した時との政治状況の違い

 橋下徹氏が大阪府知事に当選し、大阪維新の会を立ち上げた2009年は、長らく続いた自民党政権に対して国民が辟易し新しい政治勢力の登場が望まれていた(事実、次の選挙で民主党政権が誕生している)。しかし、現在の安倍政権は盤石であり、国民の多くが2020年の東京オリンピックまでの続投を望んでいる。

2)東京と大阪の根本的な違い

 大阪は長きにわたり自公政権が続いたが、その中で著しい地盤沈下も財政悪化も止められなかった。東京も石原知事以降は自公政権だが、東京一極集中と言われるほどに発展し、財政再建も着実に成し遂げている。つまり、「自民党けしからん」というパワーの重みが違うのだ。大阪府民の自民党に対する怨念は生活に根差す重みがあるが、東京都民の自民党へのネガティブイメージは、「聞いたこともないドンが仕切っているらしい」「小池知事と握手もしない態度が許せない」といった皮相的なものだ。大阪ではブームが去っても維新は強いが、小池新党なるものが出来てもブームが去れば誰も当選できないだろう。

3)オリンピックというビッグイベントの存在

 そして、何より都民が望むのは「公正な予算」による東京オリンピックの成功である。オリンピックをダシに税金を湯水のように使われるのは困るが、さりとてオリンピックをそっちのけにして国政に色気を出す都知事を望んでいる訳ではない。小池氏が新党を立ち上げて、橋下氏のように国政への影響力を必要以上に行使しようとすれば、都民は自分たちがダシにされたと感じるだろう。

 もちろん知事と議会との関係が敵対的過ぎると、予算も条例も通らないので、都政の停滞は避けられない。だが、私はこの点について大きな心配は無用だと思っている。来年には都議会議員選挙があり、現在のような態度が続けば自民党の惨敗は避けられない。当然若手たちは焦り始める。一部の者や小池氏側近はだからこそ「小池新党」を囁くだろうが、それよりもやるべきは分裂も視野に入れた自民党そのものの改革=クーデターだろう。

 鈴木俊一都政(1979年~95年)の末期にも都議会自民党は分裂しており、地方組織が割れることなど恐れるに足りない。どちらも「自民党」を名乗り、小池都知事と安倍政権がオリンピックに向けて協調姿勢を取る限り、いずれは知事支持側の「自民党」に収斂していくだろう。その時には高齢のドンも引退し、多少は都議会自民党が浄化されていると事を期待したい。

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