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参院選「合区」、「抜本的な見直し」とは程遠い

 参院選の「1票の格差」を是正するための改正公職選挙法が成立した。来夏の参院選は同改正法に基づき実施される。しかし、時間をかけた割には抜本的な改革とは程遠く、一時しのぎにすぎない。参院各会派はさらなる改革案をまとめる作業をすべきだが、それができなければ第三者機関に委ね、議論を再スタートさせることを求めたい。

 相乗りした自民党

 今回の改正法は「鳥取・島根」「徳島・高知」を合区した上で、北海道、東京、愛知、兵庫、福岡の定数を各2増し、宮城、新潟、長野を各2減し、選挙区定数を全体で「10増10減」することなどが柱だ。

 隣り合う2県を一つの選挙区にまとめたことは初の試みで、これにより、最大格差は2013年参院選の4・77倍から2・97倍に縮小する。ただ今年1月1日時点の住民基本台帳をもとにすれば3倍を超える。これでは最高裁から改めて「違憲状態」の判断が下される可能性は否定できない。

 少子化や都市部への人口集中傾向を想定すれば、今後改めて選挙制度を練り直さねばならないだろう。3年前に「4増4減」法を成立させた際、法律の付則に16年の参院選に向けて「抜本的な見直し」をし「結論を得る」と明記された。だが、この程度の内容では、あまりに無責任ではないか。

 改革に最も消極的だったのが自民党だ。与党の公明党と野党第1党の民主党などは、20選挙区を10合区にし、最大格差を1・945倍にする改正案を提出した。公明党は1999年の連立政権発足以降初めて自民党と法案採決への対応で割れた。

 最後まで案をまとめきれなかったのが自民党で、来夏の参院選に間に合わせるためのギリギリの段階で新党改革、維新、次世代などが一本化していた改正案に相乗りした。参院では自民党が多数を占めているため、今回の改正法が成立したのだが、独自案を出せなかったことは猛省すべきである。

 だが、同改正法の付則にも前回と同様に、次々回(19年)の参院選に向けて選挙制度の「抜本的な見直し」について引き続き検討をし「必ず結論を得る」と記された。「必ず」の2文字が加わった点に改正内容の不十分さが示されている。

 もちろん、議論の方向性が単に格差是正のための数字合わせに止まってはならない。参議院の在り方、独自性を念頭に置きつつ、いかに多様かつ優れた人材を確保するのかを考慮しなければならない。

 合区は地方の声が反映しにくくなり地方創生に逆行するとの指摘もある。一方、良識の府、再考の府を構成するため国家的視点に立って政策を判断できる人材も不可欠だ。

 第三者機関の設置も

 問題は、こうした議論をする政治家が自分の当落にかかわる抜本的な改正案を作れるのか、である。

 衆議院では議長の下に有識者の調査会を設置している。参議院でも各会派が早急に議論を再スタートさせるべきだが、それが難しいのであれば議長の下に第三者機関を設け取り組む必要があろう。

(8月4日付社説)

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