ワシントン・タイムズ・ジャパン

「10年後」が見通せない日本共産党の「党員高齢化」

 衆院選の最大の敗者はオールドメディアと「立憲共産党」だ――。これは、以前からしばしば提示している仮説です。「若年層から見放されつつある」という意味では、日本共産党もオールドメディアと同じかもしれません。こうしたなか、産経ニュースに日曜日に掲載された記事と、それに対する『Yahoo!ニュース』の読者コメント欄などを眺めていると、やはり「なぜ日本共産党はダメなのか」という点について、何かと考えさせられます。


進退窮まりつつある立憲民主党

 一昨日の『日本共産党委員長「衆院選で自公を追い詰めた」と総括』では、日本共産党の志位和夫委員長が先の衆院選で野党の共闘を巡って自公政権に言及し、「支配勢力に攻め込み、追い詰めた」などと述べた、とする話題を取り上げました。

 また、昨日の『立憲民主党の新代表は共産党と連合の板挟みで前途多難』では、こうした日本共産党との野党共闘継続姿勢に対し、立憲民主党の支持基盤である連合の芳野友子会長が、に対し、重ねて「日本共産党との選挙協力はあり得ない」と牽制した、とする話題も紹介しています。

 端的にいえば、立憲民主党が進退窮まりつつある、ということでしょう。

 たしかに日本共産党などとの選挙協力のおかげで、小選挙区では57議席を獲得することができたわけですから、片や「今さら選挙協力をやめるというのは難しい」という内情があります。

 しかし、「旧民進党」として見たときの、比例区での得票数は間違いなく減っていますし、立憲民主党は国民民主党から議員が合流しているにも関わらず、前回・2017年の総選挙と比べ、獲得した票数は1108万票から1149万票へと、約41万票しか増えていません。

 これはまさに、立憲民主党が国民民主党などの議員の多数を受け入れたにも関わらず、同党の支持基盤が拡大していないという間接的な証拠でしょう。

日本共産党の台所事情

●結党100年の日本共産党の苦しい内情

 もっとも、日本共産党の側も、決して内情は明るいとは言えないようです。

 日本共産党といえば、そもそも10月31日の衆院選では公示前勢力12議席を2議席減らしていますし、また、支持基盤の「若返り」にも苦慮しているようだからです。

 それに、公安調査庁からは『破防法に基づく調査対象団体である』とする見解が出ていることでも知られていますが、それと同時に、どうも最近は財政状態も厳しい、といった情報も出て来ました。

 こうしなか、とくに興味深いのは、産経ニュースに日曜日に掲載された、こんな記事でしょう。

共闘見通せない共産、結党100年目前に三重苦も


―――2021/11/28 20:16付 産経ニュースより

 産経によると、日本共産党は来年、結党100周年を迎えるものの、機関紙『しんぶん赤旗』の部数の減少に加え、党員数も減少している、などとしています。

 具体的には、『共産党の党員数・「赤旗」部数』と題したグラフが掲載されていて、グラフから目視で読み取ると、最盛期には『しんぶん赤旗』は350万部程度、党員数も50万人程度だったものが、直近の令和2年では部数は約100万部、党員は27万人に落ち込んでいることがわかる、というものです。

 これについては情報源がどこなのかよくわからないのですが、産経のグラフを信じるならば、党員数の落ち込みよりも『しんぶん赤旗』の部数の落ち込みの方がかなり深刻に見受けられます。

●資金源としての赤旗の部数減、そして党費未納党員

 産経は次のように述べます。

「政党交付金を受け取らない共産の活動資金は機関紙『しんぶん赤旗』の購読料と、党員から集める月々の党費(実収入の1%)が核だ。しかし、赤旗の部数は減少傾向にあり、100万部を割った。党員数も高齢化を背景に20万人台にまで減った」。

 しかも、産経によると、『しんぶん赤旗』には16日付で党費未納の党員が3割前後に達しているとする記事が発信されたそうであり、これに関連し、日本共産党の事情に詳しい政府関係者は「資金面で相当、困っているのではないか」とする分析を示しているのだそうです。

 ただ、産経の記事では触れられていませんが、『しんぶん赤旗』には電子版もあり、調べてみると、どうやら紙媒体版と同額の月額3,497円(税込み)で購読が可能なのだそうです(『日曜版』が電子媒体で読めるかどうかは不明)。

 産経がいう「『しんぶん赤旗』の部数が100万部」という情報が、紙媒体だけの部数を指しているのか、電子媒体の部数も含めているのかはよくわかりません。

●紙媒体の新聞にして大きく部数は減っている

 もっとも、『しんぶん赤旗』の部数が最盛期と比べ大きく減少している、とする話題については、一般紙の部数の減少とも整合する現象でもあります。

 『この1年間で新聞の合計発行部数は約7%減少した』などでも詳しく議論したとおり、新聞の部数については、(データとしてやや怪しい部分はあるものの)この20年間で少なくとも35%程度は減ったということが、データで示されています。

 具体的には、一般社団法人日本新聞協会が公表する『新聞の発行部数と世帯数の推移』というページによると、2000年に5371万部だった新聞の発行部数は、2020年には3509万部へと減少し、とくにスポーツ紙は60%近く減っているというのです。

 また、データで見ると2010年頃から部数の減少が加速しているようにも見受けられるのですが、これはちょうどスマートフォンが社会的に爆発的に普及し始めた時期とほぼ一致しています。

 考えてみればわかりますが、紙媒体としての新聞(朝刊)に掲載されている記事は、スマートフォンに配信されてくる情報と比べて、数時間から十数時間、情報が遅れます。

 たとえば、東京や大阪などの大都市(やその近郊)に暮らしているビジネスマンが新聞を購読し、それを朝8時台通勤電車の車内で読むと仮定しましょう。

 逆算していくと、このビジネスマンの家庭に新聞が配達されるのは、おそらくは朝4時から7時ごろと考えられますが、ということは、新聞販売店にこの新聞が届けられるのは朝3時から4時ごろであり、その新聞が刷り上がるのは午前2時台ごろであろうと想定されます。

 ということは、紙面は午前1時台に確定していなければならず、必然的に、その日の午前1時~8時ごろまでの情報は、紙媒体の新聞には掲載されません。

 この点、例えば市場参加者であれば、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定会合(FOMC)の内容を知っていなければなりませんが、FOMCの政策発表がなされるのは、たいていの場合、日本時間の午前3時ごろです(夏時間、冬時間等によっても変動します)。

 ということは、紙媒体の新聞しか読んでいないビジネスマンは、その日の日本時間午前1時以降の情報を全く知らずに会社に着く、というわけです(ついでにいえば、紙の新聞は重くてかさばりますし、手にインクが付きますし、読み終わったあとの処分に困ることが多いです)。

 これに対し、スマートフォンだと、それこそ分単位で最新の情報が配信されてきますし、軽くて手も汚れません。

 まさに、通勤電車における情報媒体としては、この10年あまりで、紙媒体の新聞はスマートフォンに駆逐されたのではないでしょうか。

高齢化する日本共産党

●産経「党員の高齢化」

 もちろん、こうした一般紙の事情と日本共産党の機関紙を同一視すべきではありません。

 それに、購読者にとって『しんぶん赤旗』には、たんに「そこに書かれている情報を読む」というだけの目的ではなく、もっと重要な目的があります。

 それが、先ほどの記載にもあったとおり、日本共産党の財源――一種の「政治献金」――でしょう。

 ところが、産経の記事には、こんな記述も出て来ます。

「赤旗の宅配は党員のボランティアに頼る部分があり、党員減少は負の連鎖を招きかねない」。

 要するに、『しんぶん赤旗』は日本共産党の党員がほぼボランティアに近い形で配達している、ということです。

 このあたり、「労働者の味方」を騙る日本共産党が党員から労働力を搾取しているというのは、ブラックジョークにしては笑えません。

 産経の記事では、元日本共産党の党員だった筆坂秀世氏のこんなコメントも紹介されています。

「かつては供託金を没収される覚悟で全候補者を自前で擁立していたが、今は無駄金を使う余裕がなくなった。野党共闘でしか党が生き残る道がないのだろう」。

 すなわち、党費を納めていない党員が全体の3割を占め、『しんぶん赤旗』の購読者もジリ貧であり、しかも党員にも高齢化の波が押し寄せている、というわけです。

●なぜ党委員長選をやらないのですか?

 これについて考えるうえで参考になるのが、『Yahoo!ニュース』に転載されていたまったく同じ記事です。産経と異なり、同サイトには読者コメント欄が設けられているのですが、これを読んでいると、なかなか考えさせられます。

 とくにハッとさせられる指摘は、「なぜ日本共産党は党委員長選挙をやらないのか」、というものです。

 たしかに、自民党総裁選は今年9月に行われ、かなりの注目を集めましたし、最後は「決選投票」が行われ、かなりの「盛り上がり」を見せました。

 また、立憲民主党の代表選はいまひとつ盛り上がりには欠けますが、それでも候補者は4人出馬しており、いちおう、「政策論争」っぽいものも行われているようです(あれを「政策論争」と呼ぶのもおこがましい気はしますが…)。

 しかし、日本共産党で、党委員長が選挙で議席を減らした責任を取って辞任した、という話は聞いたことがありませんし、実際に志位和夫委員長自身は20年以上の長きにわたって「政権」の座にあります。

 『Yahoo!ニュース』のコメントで考えさせられたものは、ほかにもあります。

 たとえば、「保守系のブログは誰でも書き込みが可能というケースが多いが、『リベラル』系のブログはコメント禁止である、というケースが多い」という指摘です。

 当ウェブサイトの場合も基本的にはコメント自由とさせていただいていますが、たしかに世の中のブログサイト、ニューズサイトなどを眺めていると、「左派」系のサイトでは、ウェブ運営者自身がコメントを個別承認していたり、コメント欄そのものが設けられていなかったりするケースが多いように思えます。

 読者同士の自由闊達な意見交換を禁じたら、そのサイト自体、魅力は半減すると思うのですが…。

●若年層の支持を得ることに失敗する人たち

 そして、個人的に最もうなずいたのは、「SNSなどでは『リベラル』系野党が若年層の支持を得ることに失敗している」、という指摘です。

 このあたり、『立憲・共産党の年代別支持層は70歳以上が最多=産経』などでの述べたとおり、現実に立憲民主党や日本共産党の年代別支持率は高齢層に偏っているのに対し、自民党の支持層は若年層にも広がっている、という調査結果を思い出します。

 あるいは、『紙媒体の新聞から10代が離れた』などでも触れてきたとおり、どうもさまざまな調査からは、若年層ほど紙媒体の新聞、地上波テレビから情報を得る割合が低く、インターネットから情報を得る割合が高い、という統計的事実を読み取ることができます。

 つまり、新聞、テレビなどの「オールドメディア」が『リベラル』系の野党をやたらと強く推す(※産経などを除く)一方で、保守系の政治家はみずからSNSを使い、積極的に有権者に対し直接語り掛ける、といった構図が、支持者の年齢層に何らかの影響を与えている可能性は十分にありそうです。

 このあたり、日本共産党の党員の年齢構成については産経の記事には出ていませんが、仮に日本共産党が若い党員の獲得に失敗しているのだとしたら、早ければあと10年のうちに、それこそ党員が半減する、といった事態も考えられるでしょう。

 いずれにせよ、当ウェブサイトでは常々、統計的事実などをもとに、「新聞、テレビに将来がない」という話をするのですが、同じ話は日本共産党や立憲民主党などの左派政党にも成り立つ話なのではないか、などと思う次第です。


「新宿会計士の政治経済評論」より転載
https://shinjukuacc.com/20211130-01/

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