ワシントン・タイムズ・ジャパン

言葉が心に響いてこない立憲民主党代表選

どういう国を目指すかの理念不在

 立憲民主党の代表選の議論、発言を聞いていて、候補者の言葉が心に響いてこないという印象を受けました。政策立案の方法論や、政治家としての心構えは語っていても、国家像のグランドデザインが見えてこないのです。

 逢坂誠二・元総務政務官(62)、小川淳也・元総務政務官(50)、泉健太・政調会長(47)、西村智奈美・元厚生労働副大臣(54)は、自民党総裁選の候補者より年齢が10歳ほど若く、清新さだけは感じられます。

 小川淳也氏が「総理になれなかったら、国会議員をやめる」と、タンカを切るなど、歯切れはいいようです。歯切れがいいのは、政治の方法論、政治家の心構えについてであって、骨太の政策は曖昧模糊です。

 小川氏は「人々の希望や安心を作りたい。そのために必要なのは、本当の対話型の政治だ」と、泉氏は「正義、公正、普通の安心をキーワードとしたい」と語りました。

 西村氏は「埋もれている地方の声、女性の声、草の根の声を生かして、皆で頑張っていける社会を作りたい」と、逢坂氏は「希望と安心のある社会を実現するのが私の大きな目標だ」と語りました。

 「全国に出向き、車座集会を細かくやる(逢坂氏)、「有権者と対話を重ね、公約を作り上げる」(小川氏)は結構な心構えです。肝心なのは、そうした政治手法を通じて、作り上げていく国家像、政策体系です。

 学生の作文にもでてきそうな政治論ばかり聞かされても、虚しい。異論はないにしても、物足りない。「本命不在、4氏接戦、議員調査」「4氏の政策は大同小異、議論低調」(読売新聞)との評価は当然でしょう。

 自民党路線のどこが問題だと考え、どう修正していくのか。アベノミクス以降の財政赤字の増大と金融膨張にとう対応していくのか。コロナ後の社会経済をどう再構築するのか、資源高と円安の二重苦への対処法など、重大な問題はいくらでもあるのに、それに関する発言は聞かれません。

 岸田首相の「新しい資本主義」というスローガンは、「月並みのレトリックにすぎない。資本主義論としては、あまりにも軽すぎる」という批判が聞かれるのに攻撃しない。成長率1%の低空飛行が20年も続く日本経済の長期停滞への言及もない。

 「原発ゼロ社会を早期に実現したい」(逢坂、西村氏)という。COP26(国連気候変動会議)が目指す「カーボンニュートラル」は、実現が極めて困難あるばかりでなく、エネルギー高コスト社会を迎える。

 まともに取り組もうとしたら、日本が最も大きな影響を受ける。フランスは原発重視への方向転換を表明しました。「原発ゼロ社会」で日本は本当にやっていけるのか。待ち受けているのは、「車座の集会」「対話型の政治」などでは、手に負えない難問ばかりです。

 公開討論会を開いた日本記者クラブ側も、お座なりの質問しかしていません。大きな紙面、放映時間を割いて、空疎なありきたりの発言を掲載、紹介した新聞・テレビにも大いに不満が残りました。


「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」より転載
https://blog.goo.ne.jp/jinn-news

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