ワシントン・タイムズ・ジャパン

代表選スタート 「立憲」のまま政権取れるか

《 記 者 の 視 点 》

 衆院選敗北の責任を取って辞任した枝野幸男前代表の後継を決める立憲民主党の代表選が19日、告示された。逢坂誠二元首相補佐官、小川淳也元総務政務官、泉健太政調会長、西村智奈美元厚生労働副大臣の4氏が立候補し、30日の投開票に向け選挙戦を繰り広げる。混戦が予想される。

立憲民主党代表選候補者記者会見 候補者左から西村智奈美、泉健太、小川淳也、逢坂誠二氏=11月19日午後東京都千代田区にて

立憲民主党代表選候補者記者会見
候補者左から西村智奈美、泉健太、小川淳也、逢坂誠二氏=11月19日午後東京都千代田区にて

 衆院の議席を減らしたとはいえ、立民は依然、野党第1党であり、自公連立政権が国民の信を失えば、それに代わる政権の中心となるべき位置にいる。かつて野党が理想とした「政権交代可能な二大政党制」の一翼を担うに足る政党となるのか、あるいは票欲しさのために共産党と“野合”する政党にとどまるのかは、日本の国にとって極めて重大な問題だ。

 残念ながら、結党以来の経緯を顧みると、1桁の支持率が続いた旧体制を画期的に変えるのはかなり難しそうだ。

 そもそも「立憲」という冠詞を付けていることで、党の方向性が大きく制約されている。立憲といえば、明治憲法制定前の自由民権運動をリードした立憲改進党から始まり戦前の二大政党まで引き継がれた、歴史教科書に出てくるような言葉だ。これが政治の表舞台に再登場したのは、2014~15年、平和安全法制(安保法制)の制定過程で、憲法学者や日弁連などが「従来の政府見解の基本的な枠を超えている…わけで、結局、憲法違反」「政府が憲法第9条の解釈を変更し、安保法制によって集団的自衛権の行使を容認することは、立憲主義に反して違憲」などとする主張を展開した時だ。

 当時の野党第1党、民進党も共産党や社民党などと共に安保法制に反対し、マスコミや護憲派の市民なども加勢して、大きな社会運動を巻き起こした。ただ、民進内は憲法学者や日弁連などの主張と完全に同調する勢力と、より具体的な法律上の不備に焦点を当てる勢力に分かれていた。そんな民進党が小池百合子東京都知事が率い、安保法制の容認と憲法改正推進の立場に立つ希望の党に合流する中で、前者の立場を固守する枝野前代表が同志と共に結党したのが立憲民主党だ。

 枝野氏は著書『枝野ビジョン』で「第二次安倍政権は、立憲主義に違反し、憲法解釈を不当に変更してまで、集団的自衛権の部分的な行使を容認した」と明記している。従って、立民が「立憲」を掲げる限り、「違憲部分をそのままにすることはできない」ということになる。違憲部分とは集団的自衛権の行使容認のことであり、それを廃止することは、現在の日米関係に大きな波紋を起こすことになる。

 実際、今回の衆院選で立民は、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」を媒介にして、共産、社民、れいわ新選組と野党共通政策を結び、「安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法などの法律の違憲部分を廃止し、コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する」「沖縄辺野古での新基地建設を中止する」ことで合意。選挙公約でもこれを反映させた。立憲にこだわる限り、日米関係にくさびを打ち込むことにならざるを得ない。それで政権が取れるのか。

 政治部長 武田 滋樹

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