ワシントン・タイムズ・ジャパン

衆院選での敗者は「立憲共産党」とオールドメディアだ

 今回の総選挙、最大の勝者は、おそらくは議席を4倍近くに伸ばした日本維新の会であり、また、事前に惨敗を予想する意見も見られた自民党も、議席数は15議席減で済んだという意味では、「勝者」といえるかもしれません。一方の敗者はいったい誰なのか。「立憲共産党」と揶揄された野党共闘にも関わらず13議席減らした立憲民主党もさることながら、やはり最大の敗者は、新聞、テレビを中心とするオールドメディアではないかと思うのです。


●オールドメディアさん、予測はどうでしたか?

 数日前の『選挙前の情勢世論調査、選挙の公正を歪めていないか?』でも申し上げたとおり、今回の衆院選では、一部のメディアは次のような議席を予測していたようです。

・自民党→惨敗。公示前の276議席から大きく減らし、下手をすると単独過半数の維持も微妙な情勢に。
・立憲民主党→躍進。少なくとも公示前勢力の110議席から30人近く増やす可能性もある
・日本共産党→堅調。公示前の12議席を上回る勢い
・国民民主党→公示前の8議席を確保できるかどうかが微妙
・日本維新の会→大躍進。公示前の11議席から3倍を超える可能性も

 これについて当ウェブサイトでは、「メディアがこうした予測を出すこと自体、選挙の公正を歪めるのではないか」と申し上げたのですが、それとともに、もうひとつの見どころは、メディアが絶対に報じない「選挙報道の検証」にあります。

 それでは、昨日投開票が行われた衆院選は、いったいどういう結果だったのでしょうか。

 これをまとめたものが、図表です。

■図表 選挙結果(暫定)

(【出所】報道等を参考に著者作成。なお、増減率は公示前勢力に対する比率。たとえば自民党は公示前276議席なので、15議席減少は減少率に換算して5%だが、立憲民主党は公示前109議席なので、13議席減少は減少率に換算して12%と計算される)

(【出所】報道等を参考に著者作成。なお、増減率は公示前勢力に対する比率。たとえば自民党は公示前276議席なので、15議席減少は減少率に換算して5%だが、立憲民主党は公示前109議席なので、13議席減少は減少率に換算して12%と計算される)

●自民党は悪くない戦果、立憲民主党は敗北

 あくまでも報道ベースではありますが、自民党は261議席(※報道によっては259議席)を獲得したとされ、公示前勢力(276議席)からは15議席減らしたものの、公明党とあわせれば293議席で、「絶対安定多数」(261議席)を大きく超えました。

 また、事前に「大躍進するのでは」とされていた立憲民主党は、ふたを開けてみれば96議席と、公示前の109議席と比べて13議席も減らしました。減らした議席数は自民党と似ていますが、分母を考えるならば、「議席増減÷公示前勢力」で計算できる「減少率」については12%で、自民党の5%を上回ります。

 では、自民党と立憲民主党の両党の減少分はどこに行ったのでしょうか。

 実際には、日本維新の会が公示前の11議席から一気に4倍近い41議席にまで増えました。議席数で見て30議席の増加であり、自民と立憲民主の両党の議席減少数(28議席)とほぼ釣り合っていることがわかります。

まさに、「大躍進」と言って良いでしょう。

 著者自身、今回の結果については有権者の見識がそれなりに示されたと考えています。選挙前、新聞・テレビを中心とするマスメディア(あるいは「オールドメディア」)が自民党政権をかなり舌鋒鋭く批判していて、下手をすると2009年のような事象が再び発生するのではないかと懸念していたからです。

●枝野氏の責任問題は?

 これについては、当ウェブサイトでは『オールドメディアが選挙結果歪めた2009年との違い』のなかで希望的観測として申し上げた内容が、ほぼ実現したと思います。

 自民党は安倍晋三総理大臣が率いた2017年10月の総選挙と比べ、多少は獲得議席数を減らしたにせよ、この状況だと「惨敗」とまでは言えません。公明党と合わせた連立与党ベースでは、絶対安定多数を確保したからです。

 岸田文雄首相の存在感がいまひとつ見え辛いなかではありますが、やはり岸田首相の前任者である菅義偉総理大臣がワクチン接種を強力に推し進めたことなどが国民に高く評価されたのかもしれません(※余談ですが、その意味でやはり菅総理は偉大だったのではないかと思います)。

 その一方で、野党のなかでは比較的立憲民主党から距離を置いている日本維新の会が4倍近くに議席を伸ばしたこと、国民民主党が多少ともに議席を伸ばしたことなどを思い起こすならば、結果として当ウェブサイトの主張が、ある程度は実現したと思います。

 もう選挙が終了したので敢えて申し上げますが、個人的には日本維新の会も国民民主党も、じつに胡散臭い政党だと思いますし、正直、あまり躍進して欲しくはない政党でもありますが、それと同時に「立憲民主党(あるいは立憲共産党)よりは、かなりマシ」です。

 なにせ、立憲民主党は、当ウェブサイトの用語でいうところの「人罪の宝庫」であり、「利権野党」そのものです。

 ただ、その立憲民主党はあれだけマスメディアに持ち上げられ、一部メディアがあれだけ一生懸命に「もりかけ・さくら」などの、安倍・菅両政権時代の「不祥事」を煽り、あれだけ「政権交代」だと大騒ぎしていたわりには、議席数を減らしました。

 それも、単なる減少ではありません。

 麻生太郎総理(※安倍・菅政権下で長年、副総理兼財相を務め、現在は自民党の副総裁)からも「立憲共産党」などと揶揄されたほどに日本共産党との選挙協力を進めたはずの立憲民主党が、公示前勢力から議席数を落としたという事実は、大変に興味深いものです。

 2017年の結党以来、ずっと代表を務めている枝野幸男、ずっと幹事長を務めている福山哲郎の両氏については、はたして「責任問題」とならないものなのでしょうか。

 不思議です。

●大物議員が数名落選:最大の敗者はオールドメディアだ!

 なお、今回の総選挙では、興味深いことに、当選歴が長い議員が数名、小選挙区で落選しています。

 たとえば、自民党の「大物議員」としては、石原伸晃元幹事長が東京8区で敗北し、比例復活も果たせずに落選が決まったようです。また、甘利明・自民党幹事長が神奈川13区で、平井卓也・前デジタル相が香川1区でそれぞれ敗北しましたが、両名は比例で復活を果たしたようです。

 その一方、立憲民主党の「大物議員」としては、まず、小沢一郎氏が岩手3区で、海江田万里氏が東京1区でそれぞれ落選しましたが、比例で復活を果たしています。しかし、同じく立憲民主党では辻元清美氏が大阪10区で、平野博文氏が大阪11区でそれぞれ落選し、両名は比例復活も果たせませんでした。

 枝野幸男代表自身も埼玉5区で自民党の牧原秀樹氏と接戦を繰り広げ、辛うじて選挙戦を制しましたが、あわや小選挙区で落選寸前にまで追い込まれたようです。

 やはり、国民は意外とよく見ているのかもしれません。

 こうしたなか、なんといっても個人的に興味深いのが、メディア自身の「敗戦の弁」です。

 性懲りもなく、こんな記事を掲載しているメディアがありました。

森友、ジェンダー…問われる首相の「聞く力」 忖度をやめてこそ


―――2021年11月1日 7時00分付 朝日新聞デジタル日本語版より

 記事タイトルでも「森友」だ、「ジェンダー」だと、自分たちオールドメディアが「焦点」にした内容が有権者に無視されたことに対する苦しい言い訳がつらつら続きます。

 いずれにせよ、今回の選挙の最大の敗者は、立憲民主党だけでなく、同政党への投票を全力で煽ったオールドメディアもそうなのかもしれません。


「新宿会計士の政治経済評論」より転載
https://shinjukuacc.com/20211101-03/

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