ワシントン・タイムズ・ジャパン

菅は菅でもカン違い、集客力は段違い=総選挙応援演説

 「首相なんて、誰がやったって同じさ」。ひと昔前、こんな無責任なことを述べる者がいましたが、2009年以降の3年3ヵ月の民主党政権で日本国民が得た知見とは、この「誰がやったって同じ」とする考えが完璧な間違いだったという点ではないかと思います。こうしたなか、「菅は菅でもカン違い」、との典型的な事例をひとつ発見しました。それは、「菅の集客力」です。


●安倍総理「負けたら日本は再びあの悪夢のような時代に逆戻り」

 産経ニュースは昨晩、こんな記事を配信しました。

安倍元首相、全国遊説開始 激戦区テコ入れ


―――2021/10/21 19:51付 産経ニュースより

 当ウェブサイトにて具体的な報道の中身を詳細に紹介することはしませんが、安倍晋三総理大臣(記事では「安倍晋三元首相」または「安倍元首相」)が激戦区での応援に乗り出した、とするものです。

 安倍総理はとある候補者の応援演説で、「立憲民主党と共産党に負けるわけにはいかない。負けたら日本は再びあの悪夢のような時代に逆戻りしてしまう」などと述べたのだそうですが、この「悪夢のような」とは、かつて安倍総理自身が発言し、一部左派メディアなどのバッシングを受けたセリフでもあります。

 安倍総理がその表現を堂々と使い続けているというのは、なかなか興味深いところです。

●インターネット上の選挙運動のルール

 さて、以下の議論に移る前に、総務省が公表する『インターネット選挙運動解禁(公職選挙法の一部を改正する法律)の概要』などの内容を簡単に紹介しておきます。

 選挙運動とは、「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得又は得させるために直接又は間接に必要かつ有利な行為」なのだそうです(同P2)。

 当ウェブサイトに掲載する内容自体は選挙運動に該当しないように注意しているつもりですが(たとえば「投票しましょう」とや呼びかけていますが、具体的に「比例でXX党に投票しましょう」「選挙区でXXさんに投票しましょう」、などと述べないようにしています)、ウェブ評論と選挙運動の線引きは曖昧でもあります。

 そこで、万が一、本稿の記載内容が「選挙運動だ」とみなされても大丈夫なように、最低限の形式要件を整えておきたいと思います。公選法第142条の3第3項には、選挙運動のためにウェブ上で使用する文書図画には電子メールアドレス等を掲載することが義務付けられています。

■公職選挙法第142条の3第3項


ウェブサイト等を利用する方法により選挙運動のために使用する文書図画を頒布する者は、その者の電子メールアドレス(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第二条第三号に規定する電子メールアドレスをいう。以下同じ。)その他のインターネット等を利用する方法によりその者に連絡をする際に必要となる情報(以下「電子メールアドレス等」という。)が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるようにしなければならない。

 よって、当ウェブサイトのコンタクト先メールアドレスを表示しておきます。

当ウェブサイト『新宿会計士の政治経済評論』のコンタクト先メールアドレス
[email protected]

総務省さん、よろしくお願いいたします。

●時事通信「実績協調、にじむ無念」…はて?

 さて、インターネット環境が普及したことの最大のメリットは、新聞、テレビ、通信社といったマスメディア(あるいは「オールドメディア」)の報道内容について、その気になれば「ファクトチェック」を個人レベルでも簡単にできるようになった、という点にあります。

 その典型的な事例を発見しました。

 今月4日の内閣総辞職に伴い辞任した菅義偉総理大臣を巡り、時事通信は昨日夕方、こんな記事を配信したのです。

実績強調、にじむ無念 菅前首相も行脚スタート【21衆院選】4


―――2021年10月21日16時55付 時事通信より

 タイトルでもわかりますが、菅総理(記事では「菅義偉前首相」または「菅前首相」)が「在任中に実績をあげた」にも関わらず、「国民への説明不足が指摘」されるなどしたためか、「引く手あまたというわけではない」、「菅氏への応援要請は少ない」、などと決めつけています。

 この時事通信の記事が正しいかどうかを判断する、一番わかりやすい材料のひとつが、次のツイッター投稿動画でしょう。


…。

 はて。

 これが「応援要請は少ない」とされる人の集客力なのでしょうか。

 おそらくは菅総理を目当てにした群衆が押し寄せていて、大変な人気です。また、菅総理のツイッターで確認する限りにおいて、選挙が公示された10月19日以降、明らかに、毎日のように応援演説に駆り出されているようにしか見えません。

・10月19日…神奈川県(自身の出陣式+3名の応援)
・10月20日…沖縄県(1名の応援)
・10月21日…大阪府、和歌山県(2名の応援)
・10月22日…埼玉県(3名の応援)

 時事通信は一般国民が菅総理自身のツイッターを眺めているという可能性を、少しでも考えなかったのでしょうか。

 菅総理に人気がないと言いたかったのかもしれませんが、そうした印象操作にしては、じつに雑です。

●菅総理のすさまじい集客力

 こうしたなか、「菅(すが)」と「菅(かん)」の比較、という論点もあります。同じくツイッターでは、菅(すが)義偉総理大臣と菅(かん)直人元首相の「集客力」を比較した投稿もあったのです。

 ただし、菅(かん)元首相の画像については、どこかのテレビ局の放送内容である可能性が高く、著作権法的にはそのまま引用するのがはばかれるため、ここではまず、比較のために菅(すが)総理自身のツイッター(@sugawitter)上の投稿写真を紹介したいと思います。

 たった2つのツイート、7枚の写真ですが、演説の全体が映っている写真を見れば、菅総理の集客力には凄まじいものがあるということがよくわかります。

●一方の菅元首相:全体像の写真がない!

 その一方で、菅(かん)元首相の演説については、ツイッター上で10月19日に放送されたと思しきテレビ放送の画像が拡散されており、これによると、東京・小金井市のスーパーの前で菅(かん)元首相が演説し、それをスーパーの壁際に立って聴いている人の姿がちらほらと映っている、というものです。

 映っている聴衆の姿は10人前後で、肝心の菅(かん)元首相の前の空間はスカスカであり、おそらく画面外に聴衆がいたとしても、全部で20人いるかどうか、といったところではないでしょうか(※なお、画像の著作権の所在がわからないため、当ウェブサイトでは該当するツイート自体を紹介することは控えます)。

 気になって、菅(かん)元首相のツイッターを眺めてみたのですが、不思議なことに、どの写真を見ても菅(かん)元首相の姿ばかりしか映されておらず、菅(かん)元首相の演説を聴いている人たちの全体像を写した写真は、ほとんど見当たりません。


…。

 菅(かん)元首相の演説をめあてに、どれだけの聴衆が集まっているのか(あるいはまったく集まっていないのか)については、これらの投稿写真だとよくわかりません。かろうじて最後の写真だと、聴衆の姿は7~8人ほど確認できますが、菅(すが)総理のような膨大な聴衆の姿は確認できないのです。

 正直、菅(すが)総理のような「全体像」を映した写真なり動画なりが存在しないという時点で、菅(かん)元首相の集客力とはそんなものなのだろう、という気がします。同じ「菅」でも「菅(カン)違い」、といったところでしょうか。

●「首相なんて誰がやったって一緒」…ではない!

 実際、菅(すが)総理と菅(かん)元首相を比較すると、在任した日数自体は菅(かん)元首相の方が長いのは事実でしょう。

・菅直人…452日(2010/06/08~2011/09/02)
・菅義偉…384日(2020/09/16~2021/10/04)
ただ、東日本大震災や福島第一原発事故などの対応も含め、菅(かん)元首相にはさまざまな「いわく」がついています。

 これに対し、同じ総理大臣経験者でも、菅総理の場合はたった1年少々の在任期間で、ワクチン接種を強力に進めたことを筆頭に、非常に価値のある仕事をしたのではないでしょうか(『菅義偉総理大臣の事績集:「日本を変えた384日間」』等参照)。

 (※もっとも、個人的には、麻生太郎総理に関しては、財政出動にブレーキを掛け、アベノミクスを中途半端なものにしてしまったという点においては、晩節を汚したのではないか、といった感想も持っているのですが、その点についてはいずれどこかで議論したいと思います。)

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 そういうわけで、末尾にはいつものこんな「呪文」を置いておきます。

①内容に同意できない新聞を購読しないようにしましょう。
②内容に同意できないテレビを視聴しないようにしましょう。
③選挙では必ず投票しましょう。

皆さま、何卒よろしくお願い申し上げます。


「新宿会計士の政治経済評論」より転載
https://shinjukuacc.com/20211022-03/

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