ワシントン・タイムズ・ジャパン

「立憲民主は自民の3分の1を上回るか」に注目したい

 日本が総選挙モードに突入するなか、各メディアがさまざまな調査を開始しています。こうしたなか、読売新聞や共同通信が今月2回目の内閣支持率調査などを実施しているのですが、興味深いことに、どの調査でみても、比例区で「自民党に投票する」、「立憲民主党に投票する」と答えた人の割合が、だいたい3対1なのです。逆に言えば、獲得議席数で立憲民主党が自民党の3分の1を上回るかどうかが、個人的な見どころ、というわけでもあります。


選挙前の世論調査

●「共同通信トレンド調査」では自民党対立憲民主党が「3対1」に

 当ウェブサイトでは以前から、6つの世論調査(読売新聞、朝日新聞、時事通信、共同通信の4社が実施するものと、産経・FNN、日経・テレ東の2つの合同調査)に基づく内閣支持率、政党支持率などの調査結果を「定点観測」しています。

 昨日は共同通信が「トレンド調査」と称した世論調査を出しており、比例代表の投票先を巡っては自民党が29.6%、立憲民主党が9.7%と、自民党が立憲民主党の約3倍に達していることが示されました。

衆院選、比例自民29%、立民9% 共同通信社トレンド調査


―――2021年10月17日 19:40付 日本経済新聞電子版より

 これを多いと見るか、少ないと見るかは微妙ですが、普段から当ウェブサイトで指摘しているとおり、他メディア(読売新聞や朝日新聞など)の類似する調査でも、だいたい似たような傾向が示されています。

 たとえば、朝日新聞の10月5日付の『岸田内閣、低調な船出 支持率45%・不支持率20% 朝日世論調査』という記事では、衆院比例区の投票先は、「仮にいま、投票するとしたら」、自民党が41%で立憲民主党の13%の約3倍に達していたことが示されています。

 また、読売新聞の10月16日付の『2021年10月 電話全国世論調査(衆議院解散直後) 質問と回答』でも、衆院選の比例代表での投票先は、自民党が44%であるのに対し、立憲民主党は12%に過ぎません。

 読売の調査の方が、若干、自民党に有利に出ているフシはありますが、ただ、どのメディアの調査であっても、だいたい自民党が立憲民主党を「3対1」以上で圧倒しているという状況には変わりないと考えて良いのではないかと思う次第です。

●「自民党への牽制として立憲民主党に投票する」、それって…!?

 もちろん、わが国の衆院選の場合、小選挙区・比例代表並立制を取っており、また、小選挙区と比例での重複立候補も認められているなど、議席配分方法はかなり複雑ですので、これをもって議席数も自民党と立憲民主党の比率もキレイに3対1になる、という単純な話ではありません。

 とくに、野党の場合は立憲民主党が日本共産党との「閣外協力」で合意しているため(『甘利明氏「自由民主主義か共産主義」に立憲民主党反論』等参照)、選挙協力が進めば、小選挙区では与党候補者が苦戦し、野党候補者が勝利をおさめるケースも続出するでしょう。

 さらにいえば、当ウェブサイトの読者コメント欄にもときどきご指摘を頂くとおり、「自民党が慢心しないように、今回の選挙では(わざと)立憲民主党に1票を入れてやろう」、といった考え方を持つ人もいるようです。

 一見するとバランスが取れているように見えますが、立憲民主党に1票を入れるというのは、現状の「足を引っ張るだけの最大野党」という構造を温存するという意味においては、個人的には大変無責任な行動だと考えています。

 いや、もちろん、ご自身の主義・主張に基づいて、立憲民主党を支持なさっているというのであれば、勝手にすれば良い話だと思います。

 しかし、そうでもないのに、あるいは普段から「立憲民主党は自民党の足を引っ張るばかりでダメな政党だなぁ」、などと思っているくせに、「選挙ではあえて立憲民主党に票を入れてやろう」などと考えているのであれば、それはいかがなものかと思う次第です。

●立憲民主党はコロナ終息に貢献しなかった

 『立憲民主党「変えよう」→良い方向に変わると限らない』でも報告したとおり、立憲民主党に投票をしたからといって、「良い方向に」変わる、という保証はありません。

新宿会計士の政治経済評論 1 Pocket

 あるいは、『立憲民主党のイチャモンと無関係に減少する新規陽性者』でも指摘しましたが、日本でコロナ新規陽性者数が急速に減少しつつあるなか、コロナ禍の鎮静化に立憲民主党が1ミリでも貢献したと言える部分はありません。

菅首相は戦犯に間違いないが、立憲、共産党もポンコツ過ぎたワクチン国会〈dot.〉


―――2021/06/17 18:36付 Yahooニュースより【AERA.dot配信】

 この期に及んで「立憲民主党の主張や政権公約には賛同していないが、自民党に対する牽制として立憲民主党に投票する」などとおっしゃっている方は、ご自身の行動がいかなる結果をもたらすか、もう少し考えてみられることを深くお勧めする次第です。

政権交代の可能性は低いが…

●内閣支持率は微減

 さて、内閣支持率の状況についても確認しておきましょう(図表1。ただし、紛らわしいことに、共同通信と読売新聞は、現時点までに今月2回ずつ世論調査を実施しているため、調査結果は8つ列挙されている点に注意してください)。

■図表1 内閣支持率(2021年10月)

(【出所】各社報道より著者作成。10/16~17の共同通信調査、10/14~15の読売新聞調査を除き、「前回比増減」は2021年9月の菅義偉内閣との比較)

(【出所】各社報道より著者作成。10/16~17の共同通信調査、10/14~15の読売新聞調査を除き、「前回比増減」は2021年9月の菅義偉内閣との比較)

 内閣支持率については、読売と共同の今月2回目の調査結果では微減、という結果が出ました。また、その他の調査に関しても、岸田内閣が発足した直後という事情を考慮すれば、あまり高くないという印象を持つ人も多いかもしれません。

 もっとも、現在が選挙直前というタイミングでもあるため、個人的にはさほど気にする必要はないと考えています。

●政党支持率は自民党が立憲民主党の7倍以上というケースも!

 一方で気になるのが、政党支持率です(図表2)

■図表2 政党支持率(2021年10月)

(【出所】各社報道より著者作成)

(【出所】各社報道より著者作成)


 ここでは7つほど調査結果を列挙していますが、自民党と立憲民主党の差が最も小さいのは「共同通信(10/16~17)」の4.72倍であり、それ以外は軒並み6倍を超えています。

 「自立格差」が最も大きな調査結果は、意外なことに、自民党政権に批判的なことで知られる朝日新聞のもので、自民党37%に対し立憲民主党5%、両党の倍率はじつに7.4倍(!)にも達しています。

 この点、先ほども指摘しましたが、これらの「政党支持率」は「次の選挙において比例区で投票する政党」、「次の選挙において小選挙区で投票する候補者が所属する政党」を意味するものではありませんので、現実に議席数がこのとおりになる、というものでもありません。

 とくに、武漢肺炎(新型コロナウィルス感染症)を巡って、国民の不満が溜まっているであろうことは容易に想像がつく点でもありますので、こうした国民の不満からの批判票が立憲民主党など野党に集まりやすい環境にある、という可能性については、十分に注意しておく必要はあるでしょう。

●メディア支配の終焉?

 ただ、敢えて個人的主観に基づく「感想」を申し上げておくならば、現在の状況は、「メディアの凋落」、「野党の凋落」と呼ぶべきだと思います。

 ここで思い出していただきたいのが、2009年8月、麻生太郎総理率いる自民党が鳩山由紀夫代表の率いる民主党に選挙で大敗した際、メディアが「麻生批判」一色だったことです。それが明らかな偏向だったという証拠はいくつかあるのですが、ここでは「動かぬ証拠」を2つほど挙げておきましょう。

 ひとつめは、『立憲民主党の先祖返り、今度のポスターは「変えよう」』でも取り上げた、投票に先立ち「21世紀臨調」が主催した、麻生太郎総理と当時の鳩山由紀夫・民主党代表との討論会を、既存メディアが一斉に「スルー」したという事件が挙げられます。

 そしてふたつめは、社団法人日本経済研究センターが2009年9月10日付で発表した『経済政策と投票行動に関する調査』です。これによると、オールドメディアを情報源として重視した人ほど、2009年8月の衆院選で、比例区で民主党に投票したことが示されています(図表3)。

■図表3 情報源と比例区投票先の関係

(【出所】(社)日本経済研究のレポートのP7を参考に著者作成)

(【出所】(社)日本経済研究のレポートのP7を参考に著者作成)

 新聞、テレビが日々、狂ったように麻生太郎総理を個人攻撃し、民主党の小沢一郎代表(のちにスキャンダルで民主党代表を辞して以降は、鳩山由紀夫代表)をやたらと持ち上げる報道を繰り返していたことを、個人的にはハッキリ覚えています。

 民主党への政権交代が実現したのは、間違いなく、メディアの力だったのです。

メディアと野党の凋落

 こうしたオールドメディアの神通力が通用しなくなり出したのは、2017年の「もりかけ報道」あたりからではないでしょうか。いうまでもなく、インターネットが隆盛となり、オールドメディアを盲信する人が減って来たという社会的な構造変化が生じたのです。

 とくに、今から4年前、2017年10月22日の総選挙では、あれだけメディアが「もりかけ」で安倍政権叩きをしたにも関わらず、結局自民党は選挙前の勢力をほぼ維持しました。圧勝だったと述べても過言ではないでしょう。

 安倍晋三総理自身が2012年12月に再登板するきっかけになった選挙を含めれば、安倍政権は都合6回の大型国政選挙を連続で制しています。

 さすがに今回は安倍総理が辞職し、後継者の菅義偉総理も辞職し、岸田文雄首相が率いている選挙でもあるためでしょうか、あるいは2019年10月の消費税等の増税、2020年7月のレジ袋有料化、コロナ禍などもあるためでしょうか、個人的には自民党がそれなりに苦戦すると予想している次第ではあります。

 ただ、さすがに自民党が政権を失うということはないでしょう。

 もっといえば、個人的に最も注目しているのは、立憲民主党の議席数です。

 冒頭で紹介したとおり、少なくとも比例区における投票先は、各メディアの調査では自立が3対1の割合だそうですが、逆にいえば、議席数で立憲民主党が自民党の「3分の1以下」になれば、まさにメディア支配の終焉の兆しが見える、という言い方もできるのかもしれません。


「新宿会計士の政治経済評論」より転載
https://shinjukuacc.com/20211018-03/

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