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TPP拡大へ、日本は英国の早期加盟主導を

 日本など環太平洋連携協定(TPP)加盟11カ国は、英国の参加について協議を始めることを全会一致で決めた。高いレベルの自由貿易圏に、太平洋から遠く離れた英国が参加することの意味は大きい。日本は英国の早期加盟実現を主導すべきだ。

作業部会設置で合意

 オンライン形式で開かれた閣僚級の「TPP委員会」は、英国の参加を協議する作業部会を設置することで合意した。議長を務めた西村康稔経済再生担当相は「日英の経済関係の強化、戦略的観点からも大きな意義がある」と歓迎した。

 日英間では1月、経済連携協定(EPA)が発効した。英国のTPP参加交渉で、関税撤廃率を引き上げるなど貿易自由化度を高めるため再交渉する可能性がある。

 TPPは日本、カナダ、オーストラリアなど11カ国が合意した広域の自由貿易・経済活動のルール。2018年3月に協定に署名した。農林水産品や工業製品の関税減免に加え、電子商取引や知的財産権の保護などに関するルールを定めている。

 英国が参加すれば、TPP全体の名目GDP(国内総生産)は10・8兆㌦から13・5兆㌦に増え、欧州連合(EU)の15兆㌦に匹敵する巨大経済圏が誕生する。英国は今年2月、TPPへの参加意向を表明。EU離脱後の経済成長につなげる狙いだ。トラス英国際貿易相は「英国の経済の重心を欧州から世界の急成長地域に移すことができる」と語った。

 インド太平洋地域との関係を強化する英国は、EU離脱後も国際社会での存在感発揮を目指す国家戦略「グローバル・ブリテン(世界の中の英国)」を掲げている。3月に発表した安全保障・外交の中長期計画「統合レビュー」でもインド太平洋を重視する姿勢を表明した。

 最新鋭空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群は5月22日にインド太平洋に向けて出航した。こうした動きは中国の脅威に対抗する上で、日本にとっても好ましい。

 TPPへの参加には韓国、台湾やタイも関心を示している。中国の習近平国家主席も昨年11月、参加を前向きに検討すると発言した。

 中国はTPPを独自経済圏拡大のためのツールと位置付け、参加に向けて一部加盟国と水面下で協議を始めた。ただ、国有企業改革やデータの自由な越境などを実現しなければ加盟は難しいだろう。

 もともとTPPは、存在感を増す中国に対抗するための枠組みだった。中国によって高いレベルの貿易協定が骨抜きにされないよう加盟11カ国は警戒するとともに、自由貿易主義の価値観を共有する英国の早期加盟実現に尽力する必要がある。

米国に復帰呼び掛けを

 米国も当初はTPP交渉に参加していたが、トランプ前大統領が17年1月に離脱を表明。バイデン政権は国内経済の立て直しを優先する構えで、早期復帰は見通せない。

 だが、高レベルの自由貿易圏形成による対中包囲網の構築に米国の存在は不可欠だ。日本は米国に粘り強くTPP復帰を呼び掛け続けなければならない。

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