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憲法審査会 緊急事態対応は喫緊の課題だ

 今国会初の衆院憲法審査会が開かれ、憲法改正手続きを定めた国民投票法をめぐる自由討論が行われた。昨年11月以来の審査会で自民、公明、維新、希望の与野党4党は7項目の同法改正案の早期採決を求めたが、他の野党はCM規制の議論を優先すべきとの主張を繰り返し、議論は平行線のまま。次週の開催も不透明だ。

 与野党とも審査会を政争の具にせず、本来の使命である改正原案の審査に向けて、審査会の議論に拍車をかけるべきだ。

 国会対策の取引に利用

 7項目の改正案は、既に実行されている改正公職選挙法の投票環境向上のための措置を国民投票法に反映させるもので、内容については野党も反対していない。にもかかわらず、改正案は2年前の6月27日に提出され、同7月5日に趣旨説明も終えながら、その後、継続審議になったままだ。

 与党側は「7項目の審議に決着を付けた後、即座に(CM規制の)議論に入る」と約束するが、立憲民主や国民民主など野党は確実な担保・確約は得られていないと反論しながら、これまで森友・加計学園問題や政府の重要法案審議などの問題点をその都度指摘しながら「憲法を議論する状況にない」と、何度も審査会を国会対策の取引材料として利用してきた。

 その結果、2年間に衆院審査会がまともに開かれたのは、CM規制に関する民放連からの意見聴取(昨年5月9日)と、与野党6人の欧州調査団の報告とそれを踏まえた自由討論(同11月7、14、28日)の4回だけ。参院の場合は一昨年2月21日の意見交換以来、2年以上もまともな審査会は開かれていない。

 衆参の審査会は、インターネットで生中継され、見逃しても録画を見ることができる、国民に開かれた憲法討論の場だ。野党にCM規制議論に対する与党側の約束に疑念があれば、採決後の論議の進め方などを審査会で具体的に議論し、公に与党の確約を得れば済む。与党がもし約束を破れば、審査会のビデオは極めて有効な攻撃材料になるはずだ。

 新型コロナウイルス感染という見えない敵との未曽有の戦いの中、行政の強制力を持たない要請頼みの対策の限界、緊急時に憲法に明記された本会議の定足数や国会議員の任期が国会機能を阻害する恐れがあることが新たに浮上した。コロナ感染の第2波はもとより、将来のより深刻な緊急事態にも対応できる法制を整えることは、国会が取り組むべき喫緊の課題だ。

 ネット広告規制も論議を

 「(改憲案の)発議につながる憲法審査会を動かす必要はない」と断言する共産党や「(国民投票法は)憲法改悪の一里塚であり、そもそも反対」とする社民党など、最初から改憲議論に入ろうとしない政党は問題外だ。しかし、今回与野党が指摘したように、CM規制にも重要な論点が多くある。特に、最近急速に拡大するネット広告への対策は不可欠だ。与野党とも、まずは定例日(衆院木曜、参院水曜)に審査会を必ず開くことから始めるべきだ。改正原案の審査はもとより、議論することは山ほどあるはずだ。

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