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施政方針演説 新時代の改憲案を論じよ

 通常国会が開幕し、安倍晋三首相が施政方針演説を行った。

 この中で、憲法改正について「未来に向かってどのような国を目指すのか。その案を示すのは私たち国会議員の責任ではないか」と訴え、具体的な改憲案を提示するよう与野党に呼び掛けた。今国会で憲法論議が活発化することを期待したい。

 中国の人権弾圧に触れず

 首相の通算在職日数は昨年11月、桂太郎を抜いて歴代最長となった。安定した政権運営はおおむね国民の支持を得ていると言えよう。一方、昨年は首相主催の「桜を見る会」の問題や、統合型リゾート(IR)整備をめぐる汚職事件が起きるなど、長期政権の緩みも見られる。

 野党が国会でこうした問題を追及するのは当然だが、改憲についても与野党で審議する必要がある。現憲法は施行から70年以上経(た)つが、一度も改正されたことがない。中国や北朝鮮などの脅威が高まる中、9条改正は喫緊の課題である。緊急事態条項を加えることも求められる。

 今年は東京五輪・パラリンピックが開かれ、令和の御代(みよ)を迎えた日本に全世界の注目が集まる。こうした中で「国のかたち」をどのように憲法に盛り込むか話し合うことは、国会議員の重要な使命だと言える。

 外交では、韓国に関して「元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国だ」と指摘したことは適切である。昨年末に核実験などの再開を示唆した北朝鮮の脅威に対処し、東アジアの安定を図るには、日米韓の連携強化が不可欠だ。

 首相は、関係悪化の原因となった元徴用工問題を念頭に「国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを切に期待する」と述べた。韓国の文在寅政権は、韓国最高裁の徴用工判決で生じた国際法違反の状態を早急に是正すべきだ。

 一方、首相は「新時代の成熟した日中関係を構築する」と述べた。春に習近平国家主席が国賓として来日することを念頭に置いたものだろうが、香港のデモ抑圧やウイグル族弾圧への批判がなかったことは残念だ。民主主義や人権などの価値観を有する日本として、中国の行動は看過できないはずである。沖縄県・尖閣諸島周辺で中国公船の活動が活発化していることにも厳重に抗議する必要がある。

 首相は「全ての世代が安心できる『全世代型社会保障制度』を目指し、改革を実行する」と表明。年金受給開始年齢の75歳までの拡大や、一定以上の所得のある75歳以上の医療費窓口負担増などに取り組む考えを示した。高齢化社会で社会保障制度を持続可能なものとするには、健康な高齢者に制度を支える側に回ってもらうことが欠かせない。実現のために、高齢者が働きやすい環境づくりも必要だ。

 結婚の大切さ啓発を

 深刻さを増す少子化問題に対しては「希望出生率1・8」の実現を目指し、所得の低いひとり親世帯への支援拡大など子育てしやすい社会づくりを強化するとしている。だが、経済支援だけで少子化を食い止めることはできない。政府と国民が危機感を共有し、若い人たちに結婚や家庭の大切さを教育、啓発することが欠かせない。

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