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改憲論議、与野党とも具体案を明示せよ

 自民党の萩生田光一幹事長代行が憲法改正をめぐり、大島理森衆院議長の交代論に言及したことで批判を浴びている。

 萩生田氏の発言が軽率であったことは確かだ。ただ、発言の背景には国会での憲法論議が停滞している現状がある。改憲が大きなテーマとなるであろう今秋の臨時国会に向け、各党が論議を深める必要がある。

 国会の憲法審査会で停滞

 萩生田氏はインターネットの番組で「今のメンバーでなかなか動かないとすれば、有力な方を議長に置いて憲法改正シフトを国会が行っていくのは極めて大事だ」などと大島氏の交代論に言及した。これに対し、野党が批判したほか、自民党の二階俊博幹事長が慎重に発言するよう萩生田氏に注意。同党の高市早苗衆院議院運営委員長や伊吹文明元衆院議長らからも苦言が相次いだ。

 萩生田氏は安倍晋三首相の側近であり、今回の発言は強引に改憲を進めようとする姿勢を示したものだと受け取られかねない。批判を受けるのは当然だ。もっとも、こうした発言が出てくる背景には、国会の憲法審査会で憲法論議がほとんど進んでいないことがある。

 立憲民主党や共産党などが審議に出席しないため、この1年で憲法審査会における議論は、衆院では2時間余り、参院では3分しか行われていない。商業施設などに「共通投票所」を設け、利便性を高める国民投票法改正案も棚ざらしのままだ。

 現憲法は施行されてから70年以上が経(た)つが、一度も改正されたことがない。戦力不保持と交戦権否認を規定した9条をはじめ、時代の変化や国内外の情勢に合わせて改めるべき点は多いはずである。

 もちろん、自民党が策定した9条への自衛隊明記など4項目の改憲案や、改憲そのものに反対する政党もあろう。しかし、憲法審査会の審議に出席すらしないのはおかしい。これでは、国会議員としての責務を放棄していると言われても仕方があるまい。

 首相は先の参院選で「未来へ責任を持って議論する政党か、議論を拒否する政党かを選ぶ選挙だ」と訴えた。ただ選挙の結果、自民、公明両党と改憲に前向きな日本維新の会の「改憲勢力」は、改憲発議に必要な参院の3分の2の164議席を割り込んだ。首相は2020年の改正憲法施行を目標に掲げるが、この達成には3分の2確保に向けた野党への働き掛けが求められる。

 一方、野党側では国民民主党の玉木雄一郎代表が改憲論議に前向きな姿勢を示すなどの動きも出ている。玉木氏は自民改憲案には反対の立場だが、各党がそれぞれの具体案を明示して論議が進展するよう期待したい。

 有権者にも分かりやすく

 野党側には憲法論議に応じれば、与党に数の力で押し切られかねないとの警戒感もあるようだ。論議を進めていくには、与党側も謙虚で丁寧な国会運営に努める必要がある。

 憲法は一般の法律と違って、改正するか否かは国民投票によって決まる。改憲を目指すのであれば、有権者への分かりやすい説明も求められよう。

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