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参院選公示、骨太の政策論戦し選択肢示せ

 令和の時代を迎えて初めての国政選挙、第25回参議院選挙が4日公示され、21日の投開票日に向けて17日間の選挙戦が始まる。参院選は政権選択の選挙ではないが、その結果は今後の安倍晋三首相の政権運営に少なからず影響を及ぼす。与野党ともに、憲法、外交・安全保障を含む国政全般にわたる骨太の政策論戦を通して、有権者により明確な選択肢を示してもらいたい。

 「年金不安」だけでない

 急速に進む少子高齢化と人口減少、激動する国際情勢。日本は内外に重大な課題を抱えている。それにもかかわらず、通常国会閉幕後の与野党の議論は「年金不安」や消費増税の是非に集中してきた。

 「老後に2000万円の蓄えが必要」との金融庁の報告書の衝撃と、政府の対応のまずさも手伝って、野党は「年金不安」への批判を強めている。与党はこれまで受け身の姿勢が目立ったが、野党の代案も付け焼き刃的なものが多い。むしろ積極的にどちらが現実的な政策か論争してもらいたい。

 10月の消費税率10%への引き上げについても、自民、公明両党は公約するだけでなく、先の通常国会で増税分を財源に10月から3~5歳などの幼児教育・保育を無償化する法改正を済ませた。消費増税の凍結・中止・反対を公約する野党各党に対して、国民生活に直結する子育て支援策をどうするのか、もう一度「社会保障と税の一体改革」の原点に戻った論争が必要だ。

 これらの争点も重要だが、もっと至急の課題がある。公布後70年以上も放置されてきた憲法を時代に合ったものに改正することだ。敗戦後、連合国軍占領期に制定された現行憲法は、独立国家として不可欠な国防や緊急事態に関する条項がない。占領軍が完全に日本軍を武装解除し、国内の騒擾(そうじょう)にも対応していたからだ。独立時や国連加盟時に改正されるべきだったが、経済復興や9条の制約が優先され、東西冷戦構造の中で猶予されてきた。既に冷戦終結から30年過ぎ、中国や北朝鮮による危機が高まる中で喫緊の課題となった。放置するのは政治の怠慢だ。

 安倍首相は今回、改憲の是非や中身でなく、「憲法改正の議論すらしない政党を選ぶのか、議論を進めていく政党や候補者を選ぶのか」を争点に挙げた。国会の議論の低調さは推して知るべしだ。改憲の最終的な決定権は国民にある。「国民は改憲を望んでいない」と勝手に決めつけて、憲法審査会の議論に参加しない(国民の権利を封印する)政党まである。有権者を前にして与野党は積極的に改憲論議に臨むべきだ。

 与党不満の受け皿がない

 過去に自民党から政権交代したのは細川政権を生んだ非自民非共産の8党派と民主党だった。いずれも政権中枢を経験した自民党離党組がいて、共産党と明確に一線を画していた。だからこそ、自民党が驕(おご)り、不正にまみれた時に国民が政権を委ねる選択肢となり得た。しかし今は、残念ながら与党への不満の受け皿がない。これが「安倍1強」を許し、国民を政治から遠ざける大きな要因であることを野党は肝に銘じ、与党に責任ある論争を挑んでもらいたい。

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