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  • 乾 一宇
    乾 一宇
    元防衛研究所研究室長
    茅原 郁生
    茅原 郁生
    中国安全保障
    濱口 和久
    濱口 和久
    防衛レーダー
    高永喆
    高永喆
    拓殖大学客員研究員
    新田 容子
    新田 容子
    サイバー安全保障
    岡田 真理
    岡田 真理
    フリーライター
    杉山 蕃
    杉山 蕃
    元統幕議長
    竹田 五郎
    竹田 五郎
    元統幕議長
    田村 重信
    田村 重信
    元自民党政務調査会審議役
    吉川 圭一
    吉川 圭一
    グローバル・イッシューズ総合研究所代表

    国防意識の無い日本の政治家

    ■国防意識が無い

     日本政府は中国の覇権拡大を警戒して離島防衛を開始した。日本政府としても国防の観点から無視できなくなった。宮古島に地対艦ミサイル部隊を配備するなど見た目は国防に見えるが、海洋国家の国防から見れば本質から外れたことをしている。

     それだけではなく、宮古島に基地を置いたが地元住民から反対された。反対されたら弾薬類を島外に置くなど自衛官を見捨てる行為をする始末。これでは宮古島の自衛官は最初から死ぬことを保証されている。

    ■見殺し決定の宮古島

     宮古島に陸上自衛隊の宮古島駐屯地が置かれた。この駐屯地で地対艦ミサイルを配備する事になったが、地元住民が弾薬倉庫を置くことを拒絶。これで政治家はミサイルなどの弾薬類を島外に置くことにした。

     これで駐屯地は防御戦闘すら不可能になった。基地に弾薬倉庫がなければ防御戦闘は不可能。地対艦ミサイルを宮古島に配備したとしても、予備ミサイルがなければ継続戦闘はできない。

     政治家による説明不足と言うよりも最初から島嶼防衛はパフォーマンス。最初から国防など無関心で、国防で動いた既成事実を作るだけだろう。真に国防意識があれば、駐屯地と備蓄倉庫をワンセットにする。

     外国からの買収工作があるのは基本。だから地元住民が買収されて拒絶する可能性は基本として考えるもの。だから常に反対者が出る。それでも駐屯地と弾薬倉庫をワンセットにしなければ防御戦闘は行えない。

     日本の政治家は島民の拒絶を簡単に受け入れた。弾薬類を島外に置いて、そこから地対艦ミサイルを補給する。理屈では可能でも戦闘が始まれば島外を往復することは不可能。つまり日本の政治家は国を護る気はないし、国防に必要な軍事思想・軍事理論・国防戦略などを知らないのだ。

    ■軍政と軍令

     基本的に軍政と軍令で別れている。政治家は軍政権を持ち自衛官は軍令権を持っている。軍政と軍令に分かれているが、これは戦前の日本も同じ。戦後日本では軍部の暴走と喧伝されているが、実際は軍部の暴走はない。戦前の日本軍も軍政に従って軍令を運用していた。

    軍政:宣戦布告・停戦・休戦・国軍に戦争の政治目的を付与する。
    軍令:軍隊の組織と運用は経験則に従い原則として自由。

    軍政:法の枠内の話。
    軍令:憲法・法律などの法外の話。

     「日本国家は自衛隊を保有し内閣総理大臣が軍政を発動し、自衛隊に対して目的を達成するために運用させる。国外における自衛隊の軍令は憲法と法律の外である」

     要約すればこの様な文章になる。憲法・法律は国内限定であり、国外に持ち出せば相手国の国家主権を否定する。だから国外では軍令権の世界になる。戦前の日本軍も現在の自衛隊も政治家の軍政権に従い軍令権を使う。

     だから政治家の国防方針に従い基地を置く。宮古島への地対艦ミサイル配備も政治家の軍政に従った。だが政治家が国防戦略を知らなければ間違った配備になる。たとえ間違った軍政だとしても、従うのが軍令を使う自衛官なのだ。

    ■政治家が理解しない海洋国家の国防方針

     地政学では国家を大陸国家と海洋国家に分けることができる。日本は海洋国家に分類され、政治・法律・軍事などは海洋国家の運用に従うことになる。大陸国家と海洋国家の対立と分類は1300年前の古代ギリシャ世界まで遡る。文字による記録では、海洋国家アテネと大陸国家スパルタの戦争であるペロポネソス戦争から現代まで不変。

     それだけ大陸国家と海洋国家の分類は不変の価値だから、軍事戦略・国防戦略の土台となっている。だから政治家が知らなければ、軍政権を用いて国防戦略を持つことはできない。

    国防方針   :領土・領海・領空を戦場にしない(戦場は国境から国防線の緩衝地帯)
    海洋国家の戦場:大陸の港の背中(海岸から内陸まで200kmが侵攻限界)

     国防方針の基本は国土を戦場にしない。だから国防方針が想定する戦場は国境の外になる。海洋国家の国防線は大陸の海岸線に置く。国防線から国境までを緩衝地帯に設定するのが基本で、この緩衝地帯を戦場とする。

     宮古島などの離島に駐屯地を置くとしても、地対艦ミサイルでは国防にはならない。これは明治政府が採用した地政学を知らない国防方針の再現。当時の明治政府も地政学を知らなかったので、大砲を用いた海岸と離島の防衛に至った。今の政府は明治政府の大砲から地対艦ミサイルに置き換えただけ。

     つまり専守防衛は国民を戦場に置き去りにすることが前提で、国民を戦争の惨禍に巻き込むことを意味している。同時に離島の自衛隊も見殺しにされる国防方針と言える。

     海洋国家の国防方針に従えば、日本が想定する戦場は大陸と国土に位置する空と海。必要なのは航空自衛隊の戦闘機隊と海上自衛隊の艦隊が主役になる。そうなれば必要な基地は、空軍基地と海軍基地になる。

    ■政治家に欠落する国家戦略

     政治家に必要な知識としてマハン海軍戦略がある。アメリカのアルフレッド・T・マハン(1840~1914)の海軍戦略の基本は、海軍戦略の父であるポルトガルのアルブケルケ提督(1453~1515)以後の海戦研究にクラウゼヴッツの戦争論を適用した。

    マハン海軍戦略概要
    1:有事・平時両用において行使する戦略であり「国益と不可分」。(外交の延長)
    2:海軍の目的は海洋支配。作戦原則は目標を一つに絞り、全戦力を集中する。
    3:海洋戦略の要素は、基地網+海洋戦力+海洋輸送力。(基地ネットワーク)

    海洋国家=海洋支配力+輸出産業力+海運力

     マハンの戦略論は海軍戦略だけではなく海洋国家の国家戦略論でもある。これを政治家が理解しなければ、軍政権を用い自衛隊に必要な基地展開を行えない。現代であれば、航空自衛隊が想定される戦場を往復できる空軍基地を置くことになる。

    海軍戦略=艦隊+基地ネットワーク
    海洋戦略=目的(制海権の獲得)・手段(敵艦隊+敵基地ネットワークの破壊)・方法(艦隊と基地ネットワークの造成)

    制海権=艦隊+基地ネットワークの継続利用。
    制空権=戦闘機隊+基地ネットワークの継続利用。

     制海権と制空権は、基地から何度も報復することで獲得できる。だから国防に必要な基地は、空軍基地と海軍基地の配置が基本になる。

    ■本質的な問題

     日本の離島に陸上自衛隊の駐屯地を置き、そこに地対艦ミサイルを配備することは見せかけの国防。実質的な国防ではなく、既成事実だけの国防。だから政治家は宮古島のことに冷淡。地元住民から拒絶されたら簡単に弾薬庫を島外に置く。

     真に海洋国家としての国防方針を持つならば、航空自衛隊と海上自衛隊が制空権・制海権を獲得できる基地を建設する。これをしないことが本質的な問題。

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