«
»

辺野古争点で勝てない中道保守 衆院沖縄3区補選

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古移設に反対し、玉城デニー知事を支える「オール沖縄」の国会議員がまた1人増えた。元沖縄タイムス記者でフリージャーナリストの屋良朝博氏が、元沖縄担当相の島尻安伊子氏を下し、衆院沖縄3区補選で当選したのだ。政治経験ゼロであっても、経験も実績もある元大臣をいともたやすく破ることができるのは、今の沖縄の政治状況を象徴している。

島尻安伊子氏

有権者に深々と頭を下げる島尻安伊子氏(右)=21日夜、沖縄県沖縄市の選挙事務所

 共産党や社民党などで構成される革新系の「オール沖縄」は県内の首長選、国政選で4連勝となった。いずれも、辺野古移設反対を争点化したことが奏功した。

 21日、自民と公明、維新の幹部らが集まり、相手候補の当確の瞬間が映し出されたテレビモニターを見つめる沈痛な雰囲気。そして、島尻氏は深々と支援者の前で頭を下げた。昨年9月の知事選と同じ景色を見ているようだった。

 各種世論調査では、投票にあたり最重要視した政策は「辺野古移設問題」で約4割で、「医療・福祉」や「経済発展」を大きく上回った。少し前に行われた県民意識調査で、「県が重点的に取り組むべき施策は何か」との質問では、「子どもの貧困対策の推進」が42%で、「米軍基地問題の解決促進」を大きく引き離した。ところが、補選での投票行動にはつながらなかった。屋良陣営や地元メディアによる辺野古争点化の勝利とも言える。

 屋良氏は、沖縄タイムス記者時代、米軍基地問題に精力的に取り組み、フリーになっても、米軍による抑止力は神話だという言説を広げてきた。

 現在進められている在日米軍再編の原点は、危険な普天間飛行場を辺野古に移すことだ。これは日米両政府が合意した27年前から変わっていない。辺野古移設を阻止すればするほど、普天間の返還が遅れることになる。当選を受け屋良氏は、「しっかりと辺野古の代案を出す」と言ったが、せめて選挙公約の中で具体案を提示すべきではなかったか。

 自民党県連幹部は「知事選、県民投票と続いた流れを変えることができなかった」と言葉少なげに語った。7月には参院選が行われ、引き続き「オール沖縄」対「自公維」の構図となることが予想される。中道保守陣営は、普天間飛行場の全面返還のための辺野古移設について粘り強く有権者に説明する必要があるが、それ以上に県民の関心を基地問題以外に向けることが重要になる。

(那覇支局・豊田 剛)

4

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。