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「経済成長重視が基本」貫く

懸案にどう挑む 第4次安倍改造内閣 (下)

 「最大の課題は国難とも呼ぶべき少子高齢化だ。真っ正面から立ち向かい、全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を進めていく」――。内閣改造を終えた2日夜の会見で、経済政策について述べた安倍晋三首相の決意である。

 それをどう実現していくか。無論、この課題は経済対策だけで実現できるものではない。特に少子化対策は結婚や家族を重視する国民の意識変革が欠かせない。ただ、その啓蒙にはプライベートな価値観の問題が絡むだけに慎重さが必要だが、経済政策としてはその環境整備を進めたい。

 その意味で、昨年の衆院選で首相が公約として掲げた「全世代型社会保障」の方向性は間違っていない。そして、その財源となるのが、来年10月に予定している消費税率10%への引き上げである。

 ただ、消費税増税は経済に悪影響を及ぼす。安倍首相が前回2014年4月に5%から8%への増税を実施して以降、2回延期したのもそのためだが、今回は軽減税率を準備し、景気の落ち込みを防ぐ経済対策にも万全を期す。先月30日の公明党大会で、首相は予定通り実施すると表明した。

 経済対策が必要以上となっては主客転倒だが、増税で予想以上の経済悪化を招いた1997年度と程度の差はあれ、その後の経済低迷を招いた14年度増税の過ちは繰り返さない、との覚悟がうかがえる。

 デフレ脱却を目指した5年10カ月の「アベノミクス」は、当初の大胆な金融政策と積極的な財政政策、成長戦略の三本柱から、最近では働き方改革や今回の全世代型社会保障の実現など「分配」に力を注ぐように変わってきた。

 だが、分配策の実現には裏付けとなる財源が必要であり、それを生み出すのは基本的に経済成長による税収増であり、経済を痛める増税は最小限というのが安倍政権のスタンスである。

 成長重視により、事実、国の税収は円高などの影響を受けた16年度を除いて前年度比増を実現し、18年度は予算ベースで59・1兆円とバブル期並みになった。新規国債発行は6年連続で減額し、基礎的財政収支の改善もそれなりに進んだ。

 それでも、財政状況は厳しい。最大の支出項目である社会保障費は、少子高齢化が進む中、年々増え、団塊世代が75歳になる22~24年には急増が見込まれる。持続可能な社会保障制度をどう築いていくか、改造内閣の大きな責務である。

 現在1割となっている75歳以上の医療費自己負担を2割に引き上げる案が検討されているが、来年に統一地方選や参院選を控え、こうした「痛み」を伴う制度改革を進められるか。成長の「果実」を、分配や財政健全化に生かすめには、歳出の見直しも重要である。

 人口減少時代を迎え、地方経済の疲弊が進む。地方経済を支える地銀の経営が日銀のマイナス金利政策の影響で半数が赤字を強いられている。安倍首相は、今後3年間の総裁任期中に金融政策を正常化させる「出口」に道筋を付ける考えを表明しているが、アベノミクス総仕上へ課題は少なくない。

(経済部・床井明男)

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