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党に腹心そろえ改憲の布陣

懸案にどう挑む 第4次安倍改造内閣 (中)

 先月20日に総裁連続3選を果たした安倍晋三首相だが、石破茂元幹事長に追い上げられ、圧勝して最後の任期に弾みをつける思惑が外れた。今回の組閣も総裁選で借りをつくった各派閥の意向を反映せざるを得なくなった。ただ、その中でも憲法改正に向けた党人事はしっかりと配慮したようだ。

 首相は、具体的な改憲案づくりを行う憲法改正推進本部の本部長に下村博文元文部科学相、党の最終意思決定機関として改憲案にお墨付き(了承)を与える総務会長に加藤勝信前厚生労働相を抜擢(ばってき)し、自分の意を体して憲法改正を推進する布陣を敷いた。内閣の課題でない改憲を進めるには、党が主導しなければならないためだ。腹心の萩生田光一幹事長代行を留任させ、稲田朋美元防衛相を筆頭副幹事長兼党総裁特別補佐に起用したのも、党内論議を主導するための布石だと言える。

 首相は2日、内閣改造後の記者会見で憲法改正と関連し「下村本部長の下でさらに議論を深め、作業を加速させていただきたい。自民党がリーダーシップを取って次の国会で改正案の提出を目指すべきだ」と述べたが、石破氏はさっそく「スケジュールありきという運営はしないでいただきたい」とクギを刺した。

 自民党は今年3月の党大会前に改憲推進本部で、9条、緊急事態条項、参院選挙区の合区解消、教育充実の4項目の改正条文案をまとめたが、首相提案の9条2項を残して自衛隊を明記する案だけは一本化できず、石破案を併記する形となった。それを一つにまとめて、総務会での「了承」に持ち込む最初の関門から容易ではない。

 来年春に統一地方選、夏に参院選を控えて、公明党が9条改正に慎重な姿勢を崩しておらず、与党案をまとめる第二の関門も難関だ。さらに国民投票を睨(にら)んで、維新や希望はもとより、国民民主や立憲民主まで含むより幅広い支持を得られる改正原案を国会(衆参の憲法審査会)でまとめる第三の関門も控えている。

 首相は3日、党改憲推進本部の最高顧問に就く高村正彦前副総裁と会談し、改憲案の国会提出をめぐって意見を交換した。高村氏が「改憲案提出」の真意に関して「臨時国会の(衆参両院)憲法審査会でたたき台4項目を説明する、ということでいいか」とただしたところ、首相が「そういうことだ」と答えたという。

 だが、それをもって「トーンダウンした」と捉えるのは早計だ。首相は憲法改正を正面に掲げて突き進み、苦汁を飲まされた第1次政権の経験がある。強行突破の連発では結局、政権運営が立ち行かなくなることは骨身に染みている。それだけに、さまざまな対立要因を牽制(けんせい)しながら、慎重に対応しているものとみられる。

 最後の関門である国民投票で過半数を得ることも不可欠だ。自民党内、与党間、国会での決定が、密室での取引や数合わせで決まっていくようでは国民からそっぽを向かれる。憲法改正がなぜ必要か、何がどう変わるのか――などについて国民を説得し、理解を得ながら、国民と共に憲法改正を進めていくことが必要だ。自民党にはそのための知恵と実行力、政治力が求められている。

(政治部・武田滋樹)

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