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迫る沖縄県知事選~沖縄県民に問う~

 9月30日に、沖縄県知事選挙が実施される。この選挙は、翁長雄志前沖縄県知事の死去を受けて、11月に予定されていた任期満了に伴う選挙が前倒しにされたものである。現在、自民党沖縄県連を中心とする保守勢力は、宜野湾市長であった佐喜眞淳氏に立候補者を一本化している。また、日本共産党などの革新勢力を中心とする「オール沖縄」勢力は、沖縄選出の自由党衆議院議員の玉城デニー氏を擁立するという報道がある(注:玉城氏は29日に正式出馬表明した)。ほかにも、立候補者はいるようだが事実上は、佐喜真氏と玉城氏の一騎打ちとなるだろう。

 今回の沖縄県知事選挙の大きな争点は、やはり米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題だろう。本来であれば、沖縄県全体の経済や福祉など県民生活に直結する政治課題について大きく問われるべきだ。いわゆる「基地問題」「辺野古移設問題」は、我が国の安全保障に関わるため、国民全体に問われるべきで、国政選挙レベルの話である。

 しかし、主要なマスメディアが沖縄県民同士の対立を煽るかのように、まるで「基地問題」「辺野古移設問題」が沖縄県知事選挙において、もっとも主要なテーマかのように演出してしまっているため、争点化は避けられないだろう。移設を推進する保守勢力は、逃げるわけにもいかないのは、そのためである。そこで、沖縄県知事選挙において、辺野古移設が大きな争点になるであろうと予想されるなか、推進する保守勢力はどのようにして沖縄県民に向き合い、また沖縄県民もどう選挙に向き合えばいいのかということについて、本稿で考えていく。また、本稿の読者の方は、来たる沖縄県知事選と沖縄の未来について、真剣に考えていただきたい。

 先ず、普天間飛行場の辺野古移設を推進する保守勢力は、どのようにして沖縄県民に向き合うかについて考えていこう。「保守」というからには、日本国民の利益や日本国としての利益を重要視せねばならない。つまりは、「国益ファースト」ということである。この場合の国益とは、すなわち日本の安全保障ということである。とくに沖縄周辺の安全保障環境は、年々厳しさを増している。北朝鮮による脅威も増大しているが、それよりも深刻なのが中国の軍事的増長である。

 沖縄県石垣市の尖閣諸島周辺の海域には、中国政府の公船が我が国の海上保安庁と対峙しており、平穏な状況とは言えない。日本側の漁業関係者でさえ、自国の領域というのにも関わらず、尖閣諸島周辺に近づけないという現実がある。また、海軍力を中心に軍拡を進める中国は、台湾侵略や日本侵略の手始めとしての沖縄制圧を虎視眈々と狙っていると言われて久しい。

 こういった厳しい現実問題を、保守勢力は沖縄県民に対して真摯に、そして誠実に問うべきである。そのうえで、こうした危機に米軍の存在が必要であることや、普天間基地が存在することで発生している諸問題を解決すると同時に、安全保障問題にも対処しなければならないこと、そうした中での辺野古移設であることを説明しなければならないだろう。今回の沖縄県知事選挙では、経済政策や社会福祉政策、教育問題なども問われている。だが、辺野古移設を巡る問題の争点化が避けられない以上、正々堂々と安全保障について沖縄県民に説明し、問わねばならない。

 次に、沖縄県民はどう選挙と向き合えばいいのかについて考えたい。筆者が沖縄県民に問いたいのは、「今の平和な生活を誰が守っているのか」という一点である。沖縄は、今から73年前の大東亜戦争末期において、民間人を巻き込んだ凄惨な地上戦を経験している。このような悲劇を2度と繰り返してはいけない。これは、政治思想の左右に関わらない共通認識であるはずだ。しかし、「平和を享受するための努力」について、沖縄県民はどう考えているのかということであり、「今の平和な生活を誰が守っているのか」ということでもある。

 革新勢力を中心とする「オール沖縄」勢力は、しきりに「日本国憲法第9条のおかげ」であるなどといった主張を展開している。そして、「憲法の理念に反する」として沖縄県内の米軍基地の無条件撤去を主張したり、なかには自衛隊廃止論を展開する者もいる。しかし、「現実」というものを戦後史のなかで考えてほしい。

 例えば、韓国が不法占拠を続けている竹島を巡る問題だ。竹島は、戦後になって作られた日本国憲法体制のなかで韓国に奪われた島である。当時、今のような自衛隊は存在しない。もし、「日本国憲法第9条のおかげ」で平和を享受できているというならば、竹島が韓国に奪われた史実との矛盾をどう説明するのだろうか。日本が戦争を捨てたとしても、相手は捨てることはないということである。竹島問題で数十年以上も日韓で争っているが、領土を1度奪われれば、領土が戻ってくるまでの労力は計り知れない。ほとんど戻ってこないといってもいいだろう(勿論諦めてはいけない)。北方領土に関しても、同じことが言える。同じ轍を、尖閣諸島において繰り返していいのかということである。だからこそ、「平和」というのは祈るだけでなく、「勝ち取るもの」なのだ。

 沖縄には、自衛隊も米軍も存在している。しかし、現代の世界において自国の防衛を自国のみで行うことは、残念ながらきわめて難しい時代になっている。沖縄の平和を、日本の平和を守っているのは、果たして日本国憲法なのか、それとも自衛隊や米軍などの軍事力なのか。現実主義に基づいて、「今の平和な生活を誰が守っているのか」ということを沖縄県民は一票を投じる前に考えてもらいたい。

 筆者は、来たる沖縄県知事選挙は政策に、とくに安全保障問題や基地問題に真剣に、真正面から向き合ったものが勝利すると考えている。確かに精神論に近い主張にも聞こえるだろうが、現実として辺野古移設問題の争点化が避けれられない以上は、真正面から選挙を戦わざるを得ないと思う。保守勢力は沖縄県民に、真摯に、そして冷静になって向き合い、投票する側の沖縄県民も煽情的な報道や論評に惑わされず、冷静に、そして客観的な視点を持って投票所へと足を運んでほしい。

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