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地震・豪雨で「自由民主」 万全の復旧対策を強調

震災で菅内閣退陣の教訓

地震・豪雨で「自由民主」 万全の復旧対策を強調

浸水被害のあった地域で片付けをする被災者=16日、岡山県倉敷市

 地震、豪雨、猛暑が日本列島を襲い、とりわけ西日本豪雨は犠牲者が200人を超し、交通網も寸断される平成に入って最悪の豪雨被害となった。災害時に各党は被災地のために機関紙上でそれぞれの対策や活動を伝えながらも、与野党のさや当てはある。

 自民党の機関紙「自由民主」(7・17)は、1面左下に「豪雨非常災害対策本部を設置」の突き出し記事を押し込んだ。トップは「大阪府北部地震 わが党要請で支援策が充実」で、同党の要請で実現した主な支援策を紹介する実績内容だが、同号発行日(10日)の前、より甚大な西日本豪雨被害が明らかになった。週刊の機関紙であることを踏まえれば、何とか「被災者の救命救助や被災地の復旧に万全を期していく」姿勢を示し得たといえる。

 続いて、同紙7月24日号1面は「平成30年7月豪雨 政府与党による復旧策を加速」として、「安倍総理や党役員ら被災地を視察」などと報じた。また、一覧表「政府・わが党の動き」に、7月7日「関係省庁局長級会議」以来17日までの対策を列挙してある。

 大きな災害では政府・与党の責任が大きい。与党の機関紙が対策に全力を挙げているというアピールに余念がないのは、守りの立場だ。自民党や公明党には、東日本大震災発生時に初動が遅れた菅直人内閣の轍(てつ)を踏んではならないという教訓もあろう。国民の一大事に、時の政府・与党が頼りないと一気に信頼を失う。

 それをさんざん追及したのが2011年当時、野党だった自民党と公明党なのだ。機関紙上でも、公明党の機関誌「公明」(同年5月号)は「政府の初動対応を全体として見れば、合格点に程遠かった」(軍事アナリスト、国際変動研究所理事長・小川和久氏)など識者の分析を載せ、「自由民主」同年7月12日号は「強力に対策を進める能力が、菅政権にない」と批判したのだった。国民からも能力を見限られ、同年7月の支持率が時事通信調査で12・5%まで低迷した菅内閣は、同年9月早々退陣した。

 今回、安倍晋三首相は9日に中東歴訪を中止した。非常時にどのような批判が飛び出すか分からない。実際、政権不信を高めようとする共産党の機関紙「しんぶん赤旗」は、自民党議員らの5日のパーティー「赤坂自民亭」(参加した自民党議員のSNS投稿を取り上げたもの)を載せた。これは当初は「オウム死刑囚執行の前夜」(8日付)と死刑執行への“祝杯”であるかのように印象操作する悪意ある記事だった。

 その後、水害規模が明らかになるにつれて「災害発生時の宴会 安倍政権に批判広がる」(12日付)と西日本豪雨の問題にすり替えた。しかし、気象庁が大雨特別警報を出したのは6日だ。批判のための批判であり、かつての自公野党が菅内閣を追い込んだほどのインパクトは全くない。

 目下、政権与党にとって恐るべきは天気そのものだ。自民党は災害に強い国土と地方活性化に向けて国土強靱化推進本部を設置して公共事業を進めている。しかし、想定外の気候変動に強靱(きょうじん)化が追い付かない。

 「自由民主」は7月10日号から「大自然の脅威―その検証と対策―」と題して元気象庁長官・山本孝二氏の論文を連載しているが、国土強靱化の「対策の完結には長い時間が必要」であるため、災害の防止・軽減に「過去の教訓を生かすといったソフト対策があることを忘れてはならない」と同氏は述べ、「適切な避難行動がとれるよう」にすることを勧めている。

編集委員 窪田 伸雄

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