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森友学園問題―役人の不祥事で政権が潰れる愚を犯すな

 財務省近畿財務局による公文書書き換え問題で、一強と言われた安倍政権が危機に瀕している。第一次安倍政権は、いわゆる「消えた年金」問題で倒れているので、万一この問題で安倍政権が倒れたならば、2回続けて役人の不祥事により内閣が倒れたことになる。

 そんなことが起きたら、日本のデモクラシーは70数年後戻りしてしまうだろう。なぜならば、出先機関の不祥事を理由に政権が倒れる前例が固まれば、政権の生殺与奪利を官僚に握らせることになるからだ。世間には、公文書の書き換えは公文書偽造や虚偽公文書作成などの刑法犯罪に該当し、役人が忖度で犯罪を行うはずがない、政治家の圧力があったに違いないと邪推する人もいるが、このような官僚への過度の信頼こそが、日本のデモクラシーの進展を妨げてきたのである。

 昭和の時代には国・自治体を問わず、公文書の偽造や虚偽公文書の作成など、それこそ日常茶飯事に行われていた。これにある程度、歯止めがかかったのは、情報公開制度が整ってからである。それまでは、過去に遡って資料を差し替えても、外部者には全く分からなかったのである。

 また、情報公開制度については、国は地方自治体の後塵を拝しており、1982年に山形県金山町が、翌1983年には神奈川県と埼玉県が情報公開条例を制定したのに対して、霞が関は情報公開法が2001年に施行されるまで、情報の一切を国民に閉ざしてきた。もちろん、国会両議院にはそれとは別に国政調査権という強力な権力が憲法により付与されているが、それを霞が関に対し行使することは事実上想定されていなかった。

 今回の不祥事の本質は、「前代未聞の不祥事」ではなく、「前代未聞の発覚」である。

 その最大の理由は、言うまでもなくネット社会の浸透だろう。ネットの匿名性の中で、個人が巨大組織の犯罪を暴露することは極めて簡単だ。これとて、官公庁の場合は、公務員の守秘義務違反に当たり犯罪性があるのだが、司法が動かなければ実際には無罪放免である。

 しかし、エリート意識と終身雇用により鉄の団結を誇ってきた組織は、「裏切り者」がいつ現れるか分からないネット社会への対応が後手に回ってしまった。それは民間企業も同様である。その意味で、今回の文書書き換え問題は、昨年、次々と明らかになった大企業のデータ改竄と同根のものだ。

 安倍政権に求められているものは、真相の徹底解明だけでなく、このような古い財務省体質の改善である。それには、まず消費税増税凍結で財務省にお灸をすえ、霞が関の中で圧倒的な力を有する源泉である歳入・歳出が同じという構造を解体し、古臭いエリート意識の基礎を潰すことが大切だ。

 
 安倍総理の退陣はもちろん、麻生財務大臣を始めとした関係政治家の辞任も全く無用である。平成さえ終ろうとするこの時に、まだ霞が関に支配され続ける日本でいるのか、デモクラシーを一歩進めるのか。今がその瀬戸際なのだ。

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