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自民党総裁選、安倍3選街道に逆風

竹下派の動向も影響

 9月の自民党総裁選挙に向け、厚い支持基盤を背景に楽勝ムードすら漂っていた安倍晋三首相の3選街道に逆風が吹き始めている。党内第3派閥である額賀派の「竹下派」への衣替えによる影響や、学校法人「森友学園」に関する決裁文書改竄(かいざん)問題による内閣支持率の急落が、総裁選に影響を及ぼす可能性が出てきた。
(政治部・亀井玲那)

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額賀福志郎元財務相から自民党派閥会長の指名を受け、乾杯する竹下亘総務会長(中央)=14日午後、東京都港区

 首相の出身派閥で党内最大勢力でもある細田派(94人)と二階俊博幹事長率いる二階派(44人)は既に首相支持を明言。麻生太郎副総理兼財務相を会長に昨年発足した麻生派(59人)も首相支持を固めている。また、菅義偉官房長官が率いる「韋駄天の会」などの約20人も加えると自民党所属国会議員の過半数が首相支持の計算だ。

 一方、首相の有力な対抗馬とされる石破茂元幹事長は、2012年の選挙では地方の党員票で首相を大きく引き離した(165対87)が、国会議員のみで行われた決選投票では逆転を許し当選を逃している。自らが幹事長だった13年と14年に行われた総裁選規程改正によって地方の党員票が決選投票にも反映されるようになり、石破氏は前回と同様、地方票の獲得を狙い、積極的に地方へ赴き講演を重ねている。さらに憲法改正をはじめとする自身の政治姿勢について発信するなど首相との違いを鮮明にしており、反安倍票を集めたい考えだ。

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 情勢を読みにくくしているのが、額賀派(55人)の会長である額賀福志郎氏の会長退任と竹下亘総務会長の4月の会長就任による影響だ。額賀氏はかねて首相に近い考えを示していたが、同派閥から長く総裁候補を擁立できていないことに派所属参院議員らが反発、額賀氏の辞意表明につながった。額賀派内には首相支持の議員も多いが、竹下氏は石破派(20人)を率いる石破氏と関係が深く、新竹下派は石破支持に回るのではとの臆測が広がっている。

 さらに、ここに来て森友問題が安倍政権を直撃。「国民から厳しい目が向けられている。信頼回復に向けて全力で取り組んでいきたい」(菅官房長官)とは言うものの、信頼回復への手掛かりは見えない状況だ。二階氏も19日、「(内閣支持率の急落が)総裁選のみならず、いろんなところに影響がないとは言えない」と述べるなど、「首相が当たり前に勝つ雰囲気ではなくなった」(細田派中堅議員)。

 総裁選への態度を明らかにしていない岸田文雄政調会長も、山梨県甲府市を皮切りに今月から地方行脚を本格化させている。岸田派(46人)内には主戦論と禅譲論が交錯しているが、首相からの禅譲は政権の安定が大前提。内閣支持率が落ち始めたことで、「政策も政局も力を蓄えておくことが大事だ」と準備を怠らない構えだ。

 また、石原伸晃元経済財政・再生相が率いる石原派(12人)と、首相と路線を異にする谷垣禎一前総裁が特別顧問を務める旧谷垣グループ(約20人)は、7日に幹部らが会談。合同勉強会を予定するなど連携の動きを強めており、将来的な合流の可能性もささやかれている。これらのグループがどう動くかも注目される。

 さらに、森友問題による地方の党員票への影響は避けられないとの見方が強い。党の総裁公選規程の改正により、地方の党員票の扱いが変更された(図)。

 党員票の総数は国会議員数にかかわらず300票だったが、国会議員票と同数となり、その集計方法も、あらかじめ各都道府県に票を割り振る方式をやめて、党本部が一括集計して、ドント方式で各候補に票を配分する仕組みに変わった。

 また、決選投票にも地方の党員票が反映されることになり、今回、野党時代の12年と比べ国会議員数は2倍以上に増えたが、党員票の存在感は前回より増している。

 「安倍チルドレンは激増したが、彼らが地元で党員に説得力をもって安倍支持を訴えられない環境が醸成されている」(自民党中堅)ことも影響を与えそうだ。

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