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大隅さん「目で見えることは確か」

光学顕微鏡での酵母観察が発見の原点、若手の業績を積極紹介

大隅良典さん「自分の目で見えることは確か」

インタビューに答える東京工業大の大隅良典栄誉教授=4日午後、横浜市緑区の同大すずかけ台キャンパス

 細胞内で不要なたんぱく質を分解、リサイクルする「オートファジー(自食作用)」の仕組みを解明し、2016年のノーベル医学生理学賞の受賞が決まった大隅良典東京工業大栄誉教授(71)が5日までに、インタビューに応じた。発見のきっかけとなった光学顕微鏡での酵母観察を振り返り、「自分の目で見えることほど確かなことはない。私の研究室は今でも、みんな何らかの形で顕微鏡を見ながら研究するスタイルを大切にしている」と語った。

 大隅さんは1988年、酵母の細胞内でオートファジーが起きる過程を肉眼で確認。光学顕微鏡での観察だった。自分の研究スタイルを「自分の目で確かめて、確信を持つことはいつも必要」と話し、「このごろは便利な機械があって何でも数値化してくれるが、顕微鏡で見て『きょうの細胞はこんな顔をしているな』と思うのは、研究をする上で大事なことだ」と観察の大切さを強調する。

 酵母で始まったオートファジー研究は、大隅さんに招かれて研究に加わった吉森保大阪大教授や、水島昇東京大教授らの力もあり、動物や植物など高等生物にも広がった。大隅さんも業績が評価され、国際的な賞を受ける機会が増えたが、「なるべく貢献してくれた人の名前は挙げたい」と、受賞スピーチの場では若手研究者の名前を積極的に紹介してきた。

 「私は自分の研究所から、新しい分野の中核になる人が育ってくれたら、それに勝るものはないと思っている」と話す大隅さん。「私の研究室の出身者は、飛び抜けて基礎研究に残っている人が多い。それがとてもうれしい」と目を細めた。

 最近は原点の酵母に戻り、実際に生きている酵母の中でオートファジーが果たす役割の生理学的解明に取り組む。「実は酵母ですら、オートファジーがどんな時に起きていて、どう重要かは分かっていない。酵母の研究ではあるが、基本コンセプトは動物細胞に役に立つ」と意欲を見せた。

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