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「サイエンスはどこに向かっているか分からないのが楽しい」

「オートファジー」を解明、ノーベル賞受賞3年連続

東京工業大栄誉教授の大隅良典氏に医学生理学賞

ノーベル医学生理学賞に選ばれ、花束を贈られる大隅良典東京工業大栄誉教授(右)=3日午後、東京都目黒区

 毎日顕微鏡をのぞき続け、最高の栄誉にたどり着いた。3日、今年のノーベル医学生理学賞受賞が発表された大隅良典東京工業大栄誉教授(71)。「人がやらないこと」を求め、細胞のリサイクルの仕組み「オートファジー(自食作用)」を解き明かした。受賞決定に「格別の重さを感じている」と喜んだ大隅さんを、研究仲間や同級生らが祝福した。

 「人がやらないことをやろう」。強い思いから始まった研究が開花し、最高の賞に選ばれた。酵母の観察から始まり、世界をリードする科学者となった大隅良典さんは記者会見で両親や妻に感謝の思いを示し、基礎研究の重要性を訴えた。

 東京都目黒区の東工大キャンパス。記者会見場には100人を大きく超える報道関係者が集まった。午後8時5分ごろ、スーツ姿の大隅さんが登場。しばらくの間、フラッシュの音が鳴りやまなかった。

 「この上もなく名誉なこと」「格別の重さを感じている」。冒頭にあいさつした大隅さんは、やや控えめに、うれしさを表現した。「基礎的な研究が大きなきっかけになったのであれば、幸せ」とも話した。

 あいさつの最後に「常に私を温かく見守ってくれた、今は亡き両親にまず報告したい。妻にも深く感謝したい」と語った。具体的な感謝の言葉を問われると、「妻は研究仲間で、甘えていたという風にも思っている。本当にありがたい」と笑顔を見せた。

 「競争が好きではなく、人がやっていないことをやるのが楽しいというのが本質」と語った大隅さん。未来を担う子供たちへ、「あれっと思うこと、そういう気付きを大事にしてほしい」とメッセージを送った。

 一方で、応用や実用化の研究ばかりがもてはやされる傾向に対し、「大変憂いている。サイエンスはどこに向かっているか分からないのが楽しい」と強調。「役に立つということが、起業化と同義語になっているのが駄目だ」と批判した。

 留学中に伸ばした白い顎ひげは、大隅さんのトレードマークになっている。「1回だけそってみたら、こんな顔していたんだとびっくりして、また伸ばし始めた」と打ち明け、会場を沸かせた。

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