ワシントン・タイムズ・ジャパン

ナポレオン没後200年、マクロン氏が記念演説

評価分かれる英雄、「現代のフランス形成に貢献した人物」

ナポレオン没後200年、マクロン氏が記念演説

5日、パリの教会で開催された皇帝ナポレオン・ボナパルト没後200年の記念式典で、ナポレオンの墓の前に立つフランスのマクロン大統領(右)と妻のブリジットさん(AFP時事)

 ナポレオン没後200年の5月5日、フランスのマクロン大統領は記念演説を行い、ナポレオンの墓に花輪を捧(ささ)げた。ナポレオンをめぐっては、旧植民地ハイチでの奴隷制復活や女性差別で批判され、フランス人が最も尊敬する英雄への疑問が投げ掛けられている。

 マクロン氏は、ナポレオンが設立したフランス学士院での演説で「ナポレオンが奴隷制度を復活させたことは裏切りである」としながらも、「現代のフランス形成に貢献した人物である」と称(たた)えた。演説後、マクロン氏は妻のブリジットさんとパリ市内のナポレオンの墓が安置されたアンバリッドを訪れ、花輪を捧げた。

 評価が分かれるナポレオンについて大統領が演説を行ったのは1969年のポンピドゥー元大統領以来。周辺国にとってナポレオンは戦った敵国の指導者だ。国内のみならず国外からも奴隷制復活や女性の地位の固定化に対する批判の声が高まり、没後200年の今年、評価がぐらついていた。

 ナポレオンの評価は、近代市民社会形成に不可欠な民法の基本となったナポレオン法典をめぐるものだ。イタリアや独メディアも現代の民法に多大な影響を与えた功績を評価する報道を行っている。そのナポレオン法典で家長の権力は絶対的で妻は夫に従わなければならないと定められていた。ただ、大革命後の人権宣言にも女性は含まれていなかった事実もある。

 アメリカで2013年に本格化した黒人差別に反対するブラック・ライブズ・マター運動で浮上した過去の英雄の銅像を破壊する行為は欧州にも広がっている。フランスの世論は過去の時代的背景を考慮すれば、ナポレオンを英雄の座から引きずり下ろす必要はないとの考えが大勢で、来春に大統領選を控えたマクロン氏は世論を代弁した形となった。(パリ安倍雅信)

1

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。