ワシントン・タイムズ・ジャパン

経営の厳しい茨城の地方鉄道、異例の延伸へ

ひたちなか海浜鉄道、24年にも国営ひたち海浜公園へ

経営の厳しい茨城の地方鉄道、異例の延伸へ

田園地帯を走るひたちなか海浜鉄道の車両=4月24日、茨城県ひたちな市(時事)

経営の厳しい茨城の地方鉄道、異例の延伸へ

ネモフィラが咲く国営ひたち海浜公園=4月11日、茨城県ひたちなか市(時事)

 経営の厳しい地方鉄道が延伸する。茨城県ひたちなか市と茨城交通が出資する第三セクター「ひたちなか海浜鉄道」が1月、国土交通省から許可を受けた。年間200万人の観光客が訪れる「国営ひたち海浜公園」へとつなぐ路線で、国交省は収益を見込めると判断した。地方鉄道の延伸は異例。吉田千秋社長(56)は「生活の足の維持と地域活性化につながる」と期待する。

 許可を受けたのは終着駅「阿字ケ浦駅」から海浜公園の西口付近へと延びる区間。距離は3・1キロメートルで、新駅2駅を造る。2022年度から工事を始め、早ければ24年の開業を描く。

 延伸は海浜公園の観光客を呼び込むのが目的だ。公園は水色の花を咲かせるネモフィラが有名で、夏には国内最大級の音楽イベントも開催される。新型コロナウイルスの影響で20年度の来園者は84万人だったが、15~19年度は5年連続で200万人を超えた。

 現在は繁忙期に限って阿字ケ浦駅から無料のシャトルバスを運行している。延伸すれば利用客は海浜公園に行きやすくなり、運賃収入も期待できる。吉田社長は「観光客の1割の20万人が乗れば、(1人1000円で)年間2億円の増収になる」と計算する。

 国交省の集計によると、19年度の地方鉄道の経常収支は全国95社のうち74社が赤字だ。利用客は減り、古い車両や設備の手入れに費用がかさむ。相次ぐ災害やコロナ禍も経営に追い打ちを掛けている。00年度以降の廃線はJRを含めると全国で45路線に上る。

 海浜鉄道も同じだ。廃線危機や東日本大震災を乗り越えて利用客を増やしてきたが、20年度は感染拡大で減少に転じる。吉田社長は「人が減っても生活の足は守る必要がある」と説く。その上で「今回の延伸で廃線の可能性は当面なくなる。地方鉄道で前例のない試みだが、実現に向け進んでいきたい」と力を込めた。

0

コメント

コメントの書き込み・表示するにはログインが必要です(承認制)。