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大人になった娘の桜子さんに「夢で会いたい」

追悼式遺族代表の加賀翠さん、娘の笑顔を胸に前を向いて生きていく

大人になった娘の桜子さんに「夢で会いたい」

長女の桜子さんの遺影を持って取材に応じる遺族代表の加賀翠さん(左)と長男の亮さん=17日午前、神戸市中央区の東遊園地(時事)

 神戸市主催の阪神大震災追悼式に遺族代表として出席した日本舞踊師範の加賀翠さん(65)=同市東灘区=は、長女の桜子さん=当時(6)=を亡くした。「何かしないと時が止まる気がした」と忙しく過ごしてきたが、新型コロナウイルス禍であの日を振り返る時間が増えた。心の中にいる娘に「こんな時だけど何とか頑張っているよ。桜子も夢に出てきて、ゆっくりと顔を見せて」と語り掛けた。

 26年前のあの日朝、突然激しい揺れが襲い、2階建ての自宅が全壊。桜子さんは1階で祖父母と就寝中に、家屋の下敷きになって亡くなった。祖父の幸夫さん=震災当時(60)=が大好きで、いつも一緒に遊んでいた。翠さんが弟子に教える日本舞踊を、見よう見まねで踊った。優しい子で、近所の人々から「街の太陽だった」と愛された。

 震災後、桜子さんが翠さんの夢に出てきて、笑顔を見せてくれた。しかし、幸夫さんが2009年に亡くなって以降、ほとんど出てこなくなったという。「じいちゃんと天国で楽しく過ごしているのでしょう。32歳になった桜子とちゃんと会いたいです」と話す。

 震災から5年後に桜子さんの弟の亮さん(20)が生まれ、子育てに仕事と毎日の生活に追われながら、機会があるごとに母校の地元小学校で震災の経験を語ってきた。多忙に過ごした日々を「震災がなかったらと常に思うが、今思っても仕方がない。桜子が生きていたらこうするだろうなと、その時点その時点で考えて決めてきました」と振り返る。

 コロナの影響で稽古や公演が休止になり、仕事がどうなるかという不安と、日本舞踊が消えないよう次世代につなげたいという思いが交錯する。「娘はいつも笑顔で、私が悲しそうにするととても心配してくれた。私も泣かずに娘のような笑顔を心掛けている。これからも前を向いて生きていきたい」と背筋を伸ばした。

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