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深い洞察と華麗な文体、時代を超え支持される

作家・三島由紀夫の文庫累計トップは、映画化もされた「金閣寺」

深い洞察と華麗な文体、時代を超え支持される

新潮文庫の三島由紀夫作品(新潮社提供・時事)

 作家の三島由紀夫が陸上自衛隊市ケ谷駐屯地で割腹自殺してから50年。作品は今も若者をはじめ幅広い世代に読み継がれている。三島の主要作品を発行する新潮社によると、文庫版で最も人気を集めているのは、映画化もされた「金閣寺」だった。

 三島は思想的な側面がクローズアップされがちだが、人間心理への深い洞察、華麗に装飾された文体などが際立ち、小説家としても時代を超えた支持を得ている。

 新潮社は三島が自決の現場に向かうに際し、最後の原稿を託された出版社。没後50年を機に、新潮文庫では代表作11作の解説に作家の小池真理子氏らを起用した新版を出し、既刊の文庫33作のカバーも一新した。

 同社によると、新潮文庫の累計発行部数のトップ3は、実際の事件を題材に若者が破滅に至る過程を描いた「金閣寺」(361万8000部)、若い男女の純愛物語「潮騒」(350万4000部)、自伝的作品「仮面の告白」(255万2400部)だった。

 同文庫編集部の中村睦さんは「昭和の時代と共に輝いた三島だが、今の若い読者はその時代性を抜きにして、三島文学に直接触れていると思う。マニアックな感覚、世界になじめない孤独感、秩序の外にいる冷めた感覚。そうした三島作品の『感じ』が今に受けているのでは」と分析した。

 その上で、中村さんは「三島は純文学性が指摘されるところだが、上位作品は物語性、エンターテインメント性が色濃く、長く親しまれる理由だと思う」と話した。

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