第2次大戦中に多くのユダヤ人を救った外交官杉原千畝の功績をたたえるリトアニアの「杉原記念館」の存続が危ぶまれている。新型コロナウイルスの影響により入場料収入が減ったためで、東京都内の旅行会社の添乗員らが支援を訴える。
「杉原さんがどういう人か、若い世代にもっと知ってもらいたい」。添乗員らでつくる「カウナス・杉原記念館を守る会」の西山佳耶さん(25)は強調する。守る会は記念館の運営組織と共同でクラウドファンディングを始め、9日現在で約540万円(目標800万円)が集まった。
杉原は1940年、ナチス・ドイツの迫害から逃れてきたユダヤ人難民に日本通過ビザを発給し、「日本のシンドラー」と呼ばれる。記念館は杉原が領事代理で駐在したリトアニア・カウナスにある旧日本領事館の建物を活用している。
記念館の運営は入場料と寄付金が頼りで、昨年の来館者約1万9100人のうち、日本人は1万6500人と86%を占めた。今年はコロナ感染拡大を受け、休館や同国への渡航中止勧告により訪問者は大幅に減っている。
杉原の出身地・岐阜県なども支援に乗り出し、7月に約370万円を寄付した。今年は生誕120年、「命のビザ」発給から80年の節目で、西山さんは「本や映像で学ぶのも大事だが、現地を訪れたからこその体験もある。コロナが収束した後に多くの人を案内したい」と話す。
クラウドファンディングの詳細は
日本の誇りをかけて閉館危機から救いたい!
杉原千畝が「命のビザ」を発給した記念館
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