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島国同士、日英貿易交渉が相思相愛の早期合意

わずか3ヵ月で決着、経済と外交の両面で接近

島国同士、日英貿易交渉が相思相愛の早期合意

茂木敏充外相とのテレビ会議で、日英貿易交渉で大筋合意に達したトラス英国際貿易相(左から3人目)=11日、ロンドン(英首相官邸提供・時事)

 日英両政府が貿易交渉で大筋合意に達した。交渉期間はわずか3カ月。欧州連合(EU)を離脱して独自の貿易政策を進めたい英国と、対中国包囲網で英国との関係強化を図りたい日本の思惑が一致し、相思相愛の早期決着となった。

 「日英両国にとって歴史的だ。この合意は今でも強固な民主主義的な島国同士の関係を一段と強化するものだ」。トラス英国際貿易相は11日公開した動画でこう得意げに語った。ジョンソン首相や主要閣僚も一斉に自賛。スナク財務相は日本語で「朗報」とツイートする喜びようだった。

 英国の貿易額に占める日本の割合は輸出入ともに2%程度で、約半分を占めるEUに遠く及ばない。試算によれば、貿易合意による経済効果も英国の国内総生産(GDP)を0・07%押し上げるだけ。しかし、英国にとって合意はそれ以上の「象徴的な意味」(ゼベディー首席交渉官)があった。

 EU離脱後、「グローバル・ブリテン」を掲げて貿易協定を世界各国・地域と結ぶはずが、肝心のEUとの交渉は難航。同時進行中の米国やオーストラリアなどとの交渉も進展が乏しかった。日本との合意は、待望の「(EUから)独立した国家としての初の貿易協定」(トラス氏)だった。

 日本政府内でも今回の合意は「単なる貿易協定以上の価値がある」(政府関係者)との期待が広がる。その背景には、日本が主導する環太平洋連携協定(TPP)や「自由で開かれたインド太平洋」構想に英国を引き込み、経済・外交両面で中国に対抗する狙いがある。

 安全保障でも接近が進む。英海軍は最新鋭空母を極東に常駐する計画を進めているほか、英国内の対中強硬派を中心に、米国や豪州などと機密情報を共有する同盟「ファイブアイズ」に日本を加え、「シックスアイズ」に衣替えする構想が浮上している。

 英中関係は数年前の「黄金時代」から一転、中国の香港国家安全維持法や中国通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)などをめぐって対立が激化している。日本側の交渉関係者は「英国はアジア外交の中軸に日本を選んだ。20世紀の日英同盟以来のことで、この機会を無駄にすべきではない」と語っている。(ロンドン時事)

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