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翔太とタカラ、哀しくも切ない2人の逃避行

映画「ソワレ」、8月28日より全国公開

翔太とタカラ、哀しくも切ない2人の逃避行

主人公の翔太を演じる村上虹郎とヒロインのタカラ役はオーディションで選出された芋生悠

 俳優を目指しながら結果が出ず、今ではオレオレ詐欺に加担して食い扶持(ぶち)を稼いでいる翔太。

 ある夏の日、故郷に仲間たちと戻った翔太は、高齢者施設で演劇を教えることになった。教えながら、施設の高齢者たちが突然倒れたりする中、淡々と時間が過ぎていく。

 そんな中、一人の女性・タカラと出会う。数日後、夏祭りに行くことになり、翔太はタカラの家に向かうが、そこで衝撃的な光景を目にする。タカラが刑務所帰りの父親から激しい暴行を受けていた。思わず止めに入る翔太。

 だが、タカラの手が血に染まるのを見て、思わず手を引き、2人は飛び出した。駆け落ち同然の逃避行が始まった。

 オレオレ詐欺や高齢者の介護、親からのDVなど現実社会で起きている諸問題に触れながら、2人の若い男女の逃避行を描いた作品だが、主演の2人の演技が目に留まる。翔太役の村上虹郎とタカラ役の芋生悠。俳優を目指しながらもそこに行けない鬱屈(うっくつ)した日々を送りながら、もがいている翔太を村上が印象深く演じている。

 一方で、父親から暴力・虐待を受けてながらも前向きに生きるタカラを演じる芋生の演技力に物語が進むにつれ惹(ひ)かれていることに気づく。施設でのシーンでは陰のある姿を見せているが、しだいに冷たい炎が燃えるような目力に引きつけられた。

 若き2人の演技と共にタカラの両親役(山本浩司、石橋けい)の冷たさも際立っていた。この冷たさが2人の逃避行をより際立たせているように思える。

 ラストのシーンは、見終わった後、じわりと心に染み込んでくる。

 監督・脚本は外山文治。8月28日より全国公開。

(槇村業平)

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