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日本遺族会の慰霊や交流を行う事業が中断

新型コロナで渡航が困難、高齢者が多く「早期再開を」

日本遺族会の慰霊や交流を行う事業が中断

ロシア極東ハバロフスクにある日本人死亡者慰霊碑で2019年8月に行われた追悼式(日本遺族会提供・時事)

 第2次世界大戦の戦没者の子供が戦地で慰霊や交流を行う日本遺族会(東京都千代田区)主催の派遣事業が中断していることが6日までに、同会への取材で分かった。新型コロナウイルスの影響で渡航が困難なためで、同様の理由で国の遺骨収集事業なども相次いで中止や延期が決まっている。

 今年は戦後75年の節目に当たるが、新型コロナが慰霊事業に影を落としている。同会は「高齢の遺児にとって現地で慰霊できるかは時間との闘い」とし、早期再開に期待を寄せている。

 日本遺族会によると、中断しているのは1991年度に始まった「慰霊友好親善事業」。国から補助を受け、戦没者の遺児が激戦地となった太平洋のパラオ諸島やマリアナ諸島、フィリピンなどを訪れ、父親らの慰霊や住民との交流を行う。今年度は8月下旬~来年3月末に計19回の派遣が予定され、参加者900人を募集していた。

 しかし、これらの地域では、新型コロナの感染拡大を理由に、外国人の入国が認められなかったり、入国後は14日間の隔離措置が取られたりしている。参加する遺児の平均年齢は80歳前後とみられ、新型コロナ感染で重症化するリスクも高いことから、同会は実施の可否を慎重に検討した。

 その結果、2~3月に中国などで計画していた2019年度の4事業を中止した。今年度も8月下旬~10月中旬にロシアや旧満州(中国東北部)などで予定していた6事業を取りやめた。

 10月下旬~12月のソロモン諸島やパプアニューギニアなどへの6事業も中止の公算が大きい。マーシャル諸島やフィリピンなどを訪れる来年1~3月の7事業も中止の可能性があるという。

 日本遺族会会長の水落敏栄参院議員は「今年中の事業再開は厳しいが、高齢の遺児にとって、現地に赴いて父親を慰霊できるかは時間との闘いだ。来年も渡航できない場合はどのような形の慰霊や親善交流が可能か議論したい」と話した。

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