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日本を旅して再発見、食品ロスとアイデア料理

映画「もったいないキッチン」

日本を旅して再発見、食品ロスとアイデア料理

福島県から鹿児島まで、キッチンカーで移動したダーヴィド・グロス監督(写真右) ©UNITED PEOPLE

 日本人は元来「もったいない」という言葉を使い、命あるものを大切にしてきた。現代の日本が排出する食品ロスは年間643万㌧。毎日国民一人当たり、おにぎり1個分に相当する量が捨てられているという。

 「もったいない」精神に魅(み)せられ来日したのは、ドキュメンタリー『0円キッチン』(2015年公開)を制作した、オーストリア出身の“食材救出人”ダーヴィド・グロス監督。

 日本を旅する中で、なすのヘタまで食す精進料理や、熊本の地熱と蒸気を利用した蒸し料理、モーツァルトを聴かせて作るかつお節など、日本独自のアイデアレシピと出合う。

 「ゼロウェイスト料理の母」と言われる精進料理が振る舞われる中で「スマホを見ながら食事したりしていませんか」との問いに、はっとさせられる人は少なくないだろう。劇中では、福島県いわき市で収穫した野菜の放射線量を専門機関で測定する場面がある。震災後、畑をいったん更地(さらち)にせざるを得なかった。

 生産者からは「野菜たちに申し訳ないことをした」とこぼし、「安心安全は食べる人よりも作る側の方が気にしています」と訴える。通常、料理には使われない「ネギ坊主」という部位で出汁(だし)をとった、地元のフレンチシェフによる絶品料理が振る舞われる。

 監督は、旅のパートナー、ニキさんと福島から鹿児島まで約1600㌔を軽トラの「キッチンカー」で巡る。「食べ物はただのカロリーやエネルギー源ではない。命があり、魂まである」という言葉は、地球の食糧危機に向き合うためのカギと言えそうだ。

 8月8日よりシネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺他、全国順次公開予定。

 (辻本奈緒子)

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