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「コロナに駄目押し」、源泉に泥、先見通せず

大分県日田市の天ケ瀬温泉街が玖珠川の濁流にのまれる

「コロナに駄目押し」、源泉に泥、先見通せず

豪雨による玖珠川の氾濫で被災した老舗旅館「天龍荘」で、泥を運び出す地元住民ら=11日午前、大分県日田市(時事)

 筑後川の支流、玖珠川の濁流にのまれた大分県日田市の天ケ瀬温泉街。1300年の歴史を誇り、老舗旅館や土産物店が川沿いに並ぶ。本来なら観光客が訪れるはずだった週末の11日、旅館関係者らは「コロナ被害に駄目押しだ」と落胆しながら、懸命に泥をかき出した。

 温泉街には7日から2度にわたり、泥水や木が流入した。天ケ瀬温泉旅館組合の阿部信明組合長(60)によると、約20軒ある旅館の大半が被害を受け、被災を免れた数軒でもキャンセルが相次いでいるという。

 日韓関係がこじれた影響で昨年はツアー客が激減し、回復してきたところにコロナの被害が重なった。「上を向けるように」との思いを込め、22日から8月までの週末に花火を打ち上げる計画を立てたばかりだった。さらなる追い打ちに、阿部さんは「心が折れる。ようやく、何とか盛り上げようとしていたのに」とうつむく。

 江戸時代から続く老舗旅館「天龍荘」の5代目、大庭龍一さん(68)は「きょうもお客さんが来る予定だった。かなり予約客も増えてきていたのに」と無念さをにじませた。調理場をはじめ1階の設備は全て入れ替えが必要で、「めども立たず、先のことは考えられない」。温泉の源泉には泥が詰まり、どうなるのかも分からないという。

 和菓子店「田代屋」は、1階が水没し秘伝のレシピを流失した。3代目の田代信二さん(57)は「こんな状況で、修行に出ている息子に『継いでくれ』なんて言えない」と落胆する。

 地域の消防団長も務める田代さんは、「連日の雨で水位が下がらず、流された方の捜索もできない」と、茶色く濁った玖珠川をじっと見詰めた。

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