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風評乗り越え屋形船会社「船清」が営業を再開

女将・伊東陽子さん「伝統の灯を消さないよう前を向く」

風評乗り越え屋形船会社「船清」が営業を再開

船内の除菌や換気をしながら、屋形船の営業を再開した「船清」。写真は窓を開ける女将・伊東陽子さん=28日、東京都品川区(時事)

 新型コロナウイルスに関する緊急事態宣言解除を受け、宴会参加者などに感染者が出た東京都品川区の屋形船会社「船清」が、約3カ月半ぶりに営業を再開した。当初屋形船が感染源とみられたことで風評被害が広がり、相次ぐ予約キャンセルや中傷にさらされた。いまだ逆境の中を進むが、女将(おかみ)は「伝統の灯を消さないよう前を向きたい」と意気込む。

 28日夕、船清の桟橋では、久々の予約客約10人を出迎えるため、薄いもえぎ色の着物を着た女将の伊東陽子さん(67)と従業員らが清掃や消毒作業に追われていた。掘りごたつの最大8人掛けテーブルの利用は4人までとし、向かい合って座らないよう配慮。こまめな換気や消毒を徹底している。

 この日の客は隅田川やお台場周辺を周遊。伊東さんによると、下船後に「夜景がきれいだった」「貸し切りで他の人がいなかったので逆に安心だった」などと話していたという。

 同社では、1月中旬に船を利用した団体客から感染者が発生。その後、従業員2人の陽性も確認された。都は「従業員に中国・武漢からの旅行者との接触があった」と発表したが、伊東さんがツアー会社に確認したところ、武漢の旅行客に感染者はいなかったという。

 当時を「毎日が悔しい思いの連続だった」と振り返る伊東さん。数え切れないくらいのキャンセルで損失が億単位で膨らむ中、報道を見た人からの中傷の電話が鳴り、脅迫状も届いた。伊東さんは周囲の目を恐れ「当時は買い物に行くのも下を向いていた」と話す。

 一時は営業再開は難しいと考えていたが、都の休業要請緩和の中で屋形船は「飲食店」に分類されたため、解除の数日前から再開準備を始めた。伊東さんは「切り替えないと前に進めない。応援してくれる常連客などが背中を押してくれた」と力を込める。

 以前の週末の予約客は約270人だったが、再開後は1割にも満たない。それでも伊東さんは「屋形船には畳や四季折々の風景があり、日本が凝縮されている」と強調。「再開は第一歩。日本の伝統と観光資源を守るためにも、前を向いて頑張りたい」と決意を述べた。

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