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玄関先に「ありがとう」、広がる感謝の張り紙

イラストレーター小林マキさんが発案、専門家「幸福増す」

イラストレーターの小林マキさんが発案した、生活を支える人に感謝を伝える張り紙(中央)と利用例(小林マキさん提供・時事)

イラストレーターの小林マキさんが発案した、生活を支える人に感謝を伝える張り紙(中央)と利用例(小林マキさん提供・時事)

 「ありがとう」の張り紙や感謝の言葉一つが、社会を支える「エッセンシャルワーカー」の励みになっている。新型コロナウイルスでの自粛生活が続き、閉塞(へいそく)感が漂う中でのこうした動きについて、専門家は「感謝を伝えることで、自身の幸福度が増す」と分析している。

 「置き配」での宅配をよく頼むイラストレーターの小林マキさんは4月、「感謝を伝えたい」とデザインしたイラストを玄関に張った。ツイッターへの投稿が共感を呼び、小林さんのイラストを利用した張り紙が多くの人に使われている。

 イラストは荷物の受け渡しをする両者が向かい合うシンプルなデザイン。文字は書き加える形にして温かみが出るようにした。利用者からは実際に使った写真、宅配業者からはお礼のメッセージが届いたという。

 「こんな時期に申し訳ない。ありがとう」。東京ガスライフバル文京でガス栓の開閉を担当する岡田一輝さん(28)は、開栓に訪れた家で温かい言葉を掛けられた。「想定もしていなかった。自分の仕事に責任を感じた」と振り返る。

 感染が拡大した当初はインターホン越しに「家に入らず開栓できないのか」などと言われることもあった。「徐々に顧客の反応が変わり、感謝を伝えられる機会も増えた」と喜びを語った。

 筑波大の相川充教授(心理学)は「非常事態下で、当たり前と思っていたことに『ありがたい』という感情が生じやすくなった」と指摘。さらに、社会のネットワークに自分も参加したいという気持ちが行動につながっていると説明した。

 感謝の気持ちを伝える行動は、受ける側だけでなく、する側も孤独感が和らぎ、幸福感が増すという。相川教授は今回のような感謝の形が全て定着するのは難しいとの見方を示す一方、「全体として優しい社会になり得る」と話した。

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