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64年五輪聖火ランナーが履いたシューズを復刻

福岡の老舗メーカーで、リレー延期も「再び盛り上がりを」

64年五輪聖火ランナーが履いたシューズを復刻

1964年東京五輪の聖火ランナーが履いた靴(右)と復刻された靴を持つアサヒシューズの古賀稔健さん=3月30日、福岡県久留米市(時事)

 1964年の東京五輪で約5千人の聖火ランナーが履いた靴が、1日から復刻発売されている。前回大会で製造を手掛けた福岡県久留米市の老舗メーカー「アサヒシューズ」が再現。56年前に靴を作った事実は社内でもほとんど知られていなかったが、再現チームを立ち上げ、復刻にこぎ着けた。

 復刻のきっかけは2018年8月に受けたテレビ局の取材だった。約20人で進めた再現チームのリーダーを務めた古賀稔健さん(59)は「それまで、当社が聖火ランナーの靴を製造していたことは気にも留めていなかった」と話す。

 当時の靴を知る社員はおらず、社内に現物や資料もなかった。当初、開発は難航したが、山形県の聖火ランナーだった田口重之さん(73)=同県米沢市=から当時の靴の寄贈があり、展望が開けた。設計図もその後見つかり、昨年9月の展示会で復刻シューズが初披露された。

 特徴は靴底の爪先とかかとにあるゴム。靴底とは別の二層構造になっており、当時としては画期的な技術だった。走るときにゴムが地面とのグリップを強め、衝撃を和らげる効果がある。64年の聖火リレー当時は雨でぬかるんだ未舗装の道を走ることも多く、悪条件に耐え、滑らない靴が求められた。

 当時17歳だった古賀さんのいとこ、古川静男さんは、聖火ランナーとして同社の靴を履き佐賀県内を走ったが、その2年後に不慮の事故で亡くなった。古賀さんは「いとこが履いていた靴の復刻に関われたことに縁を感じる」と話す。

 復刻された靴はアサヒシューズの直営店などで発売されている。新型コロナウイルス感染拡大で今年の聖火リレーは中止されたが、古賀さんは「収束してリレーが再開されれば、また盛り上がるはず」と期待している。

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