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重要調度品の産地、人口減高齢化で先行き不安

今夜から大嘗祭、豊田市と美馬市で後継者づくりが課題

重要調度品の産地、人口減高齢化で先行き不安

人口減高齢化で先行き不安 重要調度品の産地後継者づくりが課題
1990年の大嘗祭に調進した「繪服(にぎたえ)」と同時期に作った絹布を手にする愛知県豊田市稲武町の金田平重さん(左)。隣は、同様に29年前に「麁服(あらたえ)」を調進した徳島県美馬市木屋平の三木信夫さん=2018年10月、愛知県豊田市稲武町

 天皇陛下の即位に伴う伝統儀式「大嘗祭」が14日夜から15日未明にかけて行われる。儀式で神様のお召し物として供えられる絹布「繪服(にぎたえ)」と麻織物「麁服(あらたえ)」の産地では、29年前の平成時と同様、慎重に作業が進められた。

 麁服の原料となる大麻は、徳島県美馬市木屋平の山あいで許可を取って育て、糸を紡いだ上で、隣の吉野川市で織物に仕上げた。中心となって進めたのは、阿波忌部(あわいんべ)氏の直系とされる「三木家」の28代当主信夫さん(83)。前回の大嘗祭でも大役を担った。

 繪服は、愛知県豊田市稲武町の「まゆっこクラブ」の女性たちが糸を引き、平成時に中心的な役割を果たした金田平重さん(90)が今回も作業を見守った。

 大嘗祭まで1年余りとなった昨年10月、長野、岐阜両県と接する同町まで三木さんが足を運び、金田さんと面会する機会を持った。「最も重要な調度品を納めている者同士で交流し、情報も共有したかった」と三木さん。金田さんは平成時に納めた繪服の残りを披露しながら、「人に見せたのは28年ぶり」などと笑顔で応じ、過激派などの活動が激しく、警備などで苦労した当時の話に花を咲かせた。

 時は移り、双方が現在直面しているのは、高齢化など人手の問題だ。美馬市木屋平の人口は560人余りと、合併で同市が誕生した2005年と比べても半分以下となり、6割が65歳以上。前回、巫女(みこ)として、双子の姉と共に糸を紡いだ同市職員原田めぐみさん(47)は「当時の婦人会は老人会になっている。今回は裏方として働いたが、畑の草刈り一つとっても一人ひとりの作業量がすごく多かった」と先行きを不安視する。

 豊田市稲武町でも、平成時に中心となって糸を引いた金田さんの妻ちゑのさん(92)が今回指導・監督したのは、60代と70代の女性3人。同町の人口も減っており、現在は2200人余りで、65歳以上が半分を占める。

 「次は大学生の孫に託したい」と話す三木さん。一方、金田さんの2人の息子や孫たちは離れた場所で暮らす。いずれにしても、地域を挙げての後継者、体制づくりが喫緊の課題となっている。

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